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[コメント] 血と砂(1965/日)

童貞を失い、仲間を失い、少年たちは殺戮に「意義」を発見する。「聖者の行進」は冒頭は楽しく、ラストはあまりに凄まじい。喜八の狂気は止められない。
sawa:38

**ネタバレ注意**
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闘いとはあまりに無縁な軍楽隊の少年兵たち、コミカルなままストーリーが進行するのかと思いきや、仲間が八路軍に射殺されるや否や、突然に泣きじゃくる。そして叫ぶ。

「仇をとりたいんだ!でも弾が無いんだ!」人間が殺し合いを始める動機は戦場ではいとも簡単に手に入れる事が出来る。岡本喜八監督は「強くなる事が生き残る事」だと何回も台詞で言わしている。そしてラストの大虐殺シーンで少年兵たちは大量殺戮へ突き進む。

しかし、監督はラストのラストで少年たちに楽器を持たせ、「聖者の行進」を演奏させる事で、童貞を失う以前の少年(人間)性を持たせたまま死なせたかったのだろうか?

それにしてもラストの砲弾の雨の中での演奏シーンは凄まじい。文字通りの「砲弾の雨」、これでもかこれでもかと迫撃砲弾が襲いかかる。いくら何でもしつこ過ぎるよと思うが、実際の戦場ではいつ終わるのかも知れない砲弾の雨に兵たちは精神を蝕まれていったのだという事がよく分からされた。

PS:冒頭の全員が揃っての「聖者の行進」はとても楽しいシーンです。皆揃ってステップ踏んで・・・見終わってから、このシーンを思い返すと余計に哀しさが!

アンダーグラウンド』の楽団員と並んで私の記憶に残り続けるでしょう。

(評価:★4)

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