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[コメント] 穴(1960/仏)

コンクリートへの最初の一撃。硬い、硬い、硬い。二撃、三撃・・・延々と続く長廻しがこれほど熱いとは!
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最初は「傷」程度しか付かなかったコンクリートが、徐々にではあるが「欠損」し、そして崩れていく。

手だけしか映らない長廻しだ。長い、長い、長い。

とてつもなく硬そうなコンクリートが、実際の俳優たちの「手」で崩れていくのに正直戸惑った。無理だと思っていた事が、たかが俳優たちの「手」によって崩れていく様に困惑し、その時点で見事に感情移入させられてしまっていた。

観客の多くが、一緒に穴を削っている気分にさせられたのだろう。

ここが長廻しでなく、オーバーラップ等の手法で一気に作業が進行する様を描いていたなら、観客(私)はこれほど感情移入出来たであろうか疑問である。実に見事なシーンだったと感心する。

対して、例のラストのどんでん返し。くるっと回転させた小さな鏡に映った待ち構える看守たち。とてつもなく短い1カットで全てをひっくり返す。上記の長廻しとは対照的に一気に観客を突き落とした。見事なシーンだなどと感心する間もない鮮烈なショットだった。

本編終了後のクレジットロールが優雅なピアノに乗って流れる頃になってようやく、「これぞ映画の醍醐味だ。」と感じられるのだ。

だから、映画はやめられない。今度こういう映画に会えるのはいつなのか?だから、映画はやめられない。

(評価:★5)

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