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[コメント] 俺は、君のためにこそ死ににいく(2007/日)

散漫な脚本が映画としての完成度を下げている。エピソードの羅列と群像劇とでは似通っているが意味合いはまったく違う。ある程度フィクションの部分を多くしてでも「視点の固定」と「ドラマの連続性」を堅持すべきだった。
sawa:38

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







今回は政治的なコメントを控えたいと思います。実は新保守主義(ネオコン)にシンパシーを感じる私としては最近迷っている部分があるからです。

自爆テロリズムと日本軍の特攻攻撃は同一視すべきでないという持論と、それならば現在世界各地で行われているイスラム教徒の自爆テロを理解するのかという疑問。これに明確な答えを見つけられない自身が歯がゆい。

幼い頃、父に連れて行かれた靖国神社。大人になって多くの問題が内包されていることを知った靖国神社。私自身には何の縁もゆかりも無いもない場所だが、父には特別な場所であることに変わりはない。

「靖国神社の鳥居で待ってるよ」「死んだら集合場所は靖国神社の・・・」こんな会話を最後に交わして死んでいった世代がいることは「日本の事実」。そんな約束を交わした人々に対して我々の世代はどんな言葉を投げかければ良いのか議論が沸騰する現代。

困惑する私。本作の題名の「君」とは誰を指すのか?愛する家族や恋人なのか、もしくは天皇ではないかと邪推も出来るが、ストレートに直訳して本作の題名を読んでいるこの私?もしくは貴方?

「日本国の将来の為」ならば残された国民とその子孫、つまりやはり私たちのことなのか?!困惑する私。

巧妙な石原慎太郎氏の深謀遠慮なのだろうが彼はラストに「ありがとうございました」との曖昧な答えで結論を出した。色々な賛否両論ある事柄なれど、彼等に対して明確な言葉を見つけられない(もしくは変遷してきた)現代の我々が死んでいった彼等に投げかけられる唯一の言葉としての「ありがとうございました」。曖昧ではあるがこの解決策で私の困惑度合いも多少は癒される。

議論は別にしてとりあえずこの言葉なら問題無いのだろうか?それともさらに一歩退いて「ご苦労様でした」で良いのだろうか?うーん難しいです。

(評価:★3)

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