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[コメント] ゴジラ(1984/日)

スーパーXを登場させたのは誰の発案なのか? 金閣寺燃ゆる!
sawa:38

ヒロシマ・ナガサキ・東京大空襲・原水爆実験と単なる怪獣映画を超えたメッセージを伝えた第1作にも関わらず、その後のシリーズは子供向けの漫画映画にまで凋落してしまった。

その類稀なキャラクターを再びスクリーンに登場させるという企画に当時の私は狂喜した。ミニラを登場させたり、ゴジラに「シェーッ」をさせたりした東宝が自らの財産に自ら泥を塗っていった歴史を清く反省したのだなと思ったものだ。

映画は興行的に成功を収めてこそ、映画足りうる。最初から興行的な成功を考えずに製作するのはアングラや巨匠と呼ばれる人々の自慰的な作品ぐらいだろう。しかし、東宝の商業戦略はひどすぎる。デパートの玩具売場にはゴジラを筆頭にウルトラマンや仮面ライダーのキャラクター商品が数多く並べられている。その事はまだ理解できる。少年時代、私もその手のソフビ人形を収集し楽しんでいたのだから・・・

ただし私が理解出来ないのは、映画そのものよりも2次的な副産物であるキャラクター商品を販売する事を念頭においてから「映画」を製作している感じが漂ってくることである。

本作でゴジラは現代の東京に蘇った。子供の味方などという訳のわからない設定はとりあえず消滅したので脚本の下手さはあるにせよ、そこそこ楽しませてもらいながら鑑賞していたが、新宿の高層ビル街に自衛隊の新兵器という「スーパーX」なる物体が登場し、すべてを台無しにしてしまった。

何故、F15や対戦車ヘリではダメなんだろう?UFOまがいの物体が実際に開発される可能性というのはいつの時代のことなのだろう?所詮はSF映画なのだからという意見もわかるが、それならばゴジラの誕生の経緯やビルの崩壊シーンなどに中途半端なリアリティーを求めるふりはしないで欲しい。中途半端な映画ならばまだ前シリーズの徹底した漫画映画のほうが気持ちがいい。映画を見てこれほどの悔しさと脱力感を味合わされたことも過去になかった。

我々は「期待」したのだ、東宝に。それほどの「財産」を東宝は再び壊してしまったのだ。

金閣寺に放火した青年と田中友幸が同列に思えてしまうのだ。

(評価:★1)

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