この映画は好きだ。自分が小樽出身だからかもしれない。二人の藤井樹にまつわる雪と死のエピソード。少年少女時代の青春の瑞々しいエピソード。雪と死、春と生がうまく対比されてそれぞれのよさが出ている。過去と現在、通り過ぎていってしまった人と今を生きている人、この二つが今めぐりあって一つの美しい物語を形作っている。岩井と樹が「失われたときを求めて」に託したものはその邂逅を担う役割だったのだろう。