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[コメント] 未知との遭遇(1977/米)

ひらめきを形にする世界。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







遭遇から物語りは始まる。異星人は人にメッセージを送る。科学者は音から座標を割り出し、対話を試みる。主人公らは特殊な感覚から、ぼんやりとした地形のイメージを思い浮かべ、模型や絵にする。

科学者たちは、そんな主人公(リチャード・ドレイファス)らのことを現場から遠ざけようとしつつも、リーダーの一人は「彼らは我々と違って招待客だ」と言う。私はそれは違うと思う。異性人は、科学者に対しては彼らが暗号を解明し、彼らと対話できるようになる時を待っていたのだろう。(待つといっても、光速近くで移動する異性人にしてみれば一瞬なわけですが・・・) ひらめきを形にする手段こそ違え、彼らは皆招待されたのだ。

偉大な発明には、地道な努力のみで達成されえない「ひらめき」のようなものが潜んでいることはよく言われる。ベンゼルが夢の中で道端で3匹のヘビが噛み付き合っているのを見て、六角形のベンゼル環の構造をひらめいたのは有名な話である。映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』における偉大な三角形の発見もこれに近い。

自分に置き換えてみると、ふと何か頭に浮かんだ時、小さい頃はそれを形にしていたはずなんだけど、感性は失うと取り戻せないのでしょうか(幼い子の描く絵ってそういった感性を感じます)。もうすっかり錆びれてしまいました(最初からあったかどうか定かではありませんが・・・)。 主人公がシェービングフォームやらポテトサラダやらで山を作ってしまう感覚が何となくわかるだけに寂しい。「未知」との「遭遇」というテーマの背後に「喪失」しつつある「感性」も本作には感じる。

ところで、最近、随分と久しぶり(20年近くぶり?)に再見したのですが(今回は完全版)、ラストのもの凄さにしびれた。そこまで対話するか?と、言うぐらいにも感じたが、私のロマンを掻き立てるに十分だった。私も宇宙に行きたい。

(評価:★5)

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