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[コメント] 父、帰る(2003/露)

あっけにとられましたが、こういうの結構好きです。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







描かれない、もう一つの物語と言う点では『ハリーポッターとアズカバンの囚人』のようなものですね。続編のない本作には潔さすら感じます。

確かにビックリする結末ですが、こういうことって日常でもありうることだと思う。肉親でも、仕事でも、友人の間柄でも、伝えていない大切な想いってのはあるはず。何も敢えて言葉にする必要もなかったり、意外とおしゃべりな人でもどうでもいい事ばかり話してて、肝心なことは心に秘めるものではないでしょうか? ただ、大切な気持ちは伝えとかないと、不幸はいつ襲うか判らないのが・・・。

さて、本作ですが、寡黙な父が掘り出したあのタイムカプセルのような金箱は、子供へのプレゼントか家族の絆を象徴するもので、その中身は親子の12年間をフラッシュバックさせるに十分なものに違いないと妄想する私なのですが、(せめてそれだけでも!)それを子供が見つけて開けることもなく、寡黙の親父さんもろとも沈黙の海に沈めてしまうのだから、絶句。 オープニングが海底に沈んだボートだっただけに、ある程度の悲劇は想像していたが、海底の語るものの深さの計り知れない結末。 

好奇心が強く気持ちに正直な兄弟からすれば、生前の父に接したあの態度は自然だと思う。父を引き摺った一晩。2人は父の重さをどう感じたのだろう? 少年から大人になるに従って意味するところは変わっていくのだろうが、2人にとって、この時の父の「重み」が「確かな」父との想い出となるのは間違いないだろう。

(評価:★4)

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