コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] キル・ビル Vol.2(2004/米)

まさか、キル・ビルで眠くなるとは思わなかった。どうも「刀」の設定が前作から気になるんですよ・・・。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







Vol.1のコメントで、私は本作(Vol.2)では、ブライド(ユマ・サーマン)は刀を使わず、相手によって異なる得物を使うだろう(本作のオマージュとなったであろう、5人の格闘家と闘うブルース・リーの『死亡遊戯』の設定より)と予想していたが、ある意味当たっていた。殺傷はカンフーとガンファイトのみにより、刀を奪い合いするシーンはあったものの、基本的に刀は「飾り」でしかなかった。

刀を「飾り」としていることが本作で大きくマイナス効果となっているのは、間違った指摘ではないと思う。刀のアクションを期待して観る者にとって、肩透かしを食らってしまうのはほぼ確実だからだ。他のアクションについても、カンフーは、エル(ダリル・ハンナ)との対決で漸く面白くなったが、それ以外はさほどの迫力もなく、ガンファイトも当たる弾はみんな実弾でないし、驚きの演出があるかと思えばそれも全然なかった。 これはラブストーリーなんだよー、なんて言われても、お手上げするだけです。

(まだこだわっているが)Vol.2では刀を使うべきでなかったと思う。前から私がこれにこだわっている根拠は、Vol.1のヴァニータ・グリーン(ビビカ・A・フォックス)を倒す場面で、彼女がオーレン・イシイ(ルーシー・リュー)に続く2人目の標的であるにもかかわらず(注;登場の順番は逆)、刀が全く出てこないから。確か、「武器はヴァニータに合わせる」とまで言っていたはず。この一言が、相手に得物を合わせることの伏線になるかと思えば、そうでもなかった。本作は前作以上に「ハットリハンゾウ」による刀を(使うわけでもなく)”ただ”強調していた。

このように刀の扱いに一貫性がない。刀には「筋」を通してほしい。飾りじゃないんですよ「刀」は! 今度ばかりはゴルフバックに刀が入ってても笑えません。またしても刀をネタに使われてるようで(少し)腹が立った。 想像するに、タランティーノ監督は刀以外にヌンチャクなど次から次へと色々な得物を使いたかったが、ユマ・サーマンにはとてもそれを使いこなす力もなく、CGで処理するにも監督のこだわりが許さなかった、しかし、刀のアクションでは前作を超えられない・・・、と言うのが実情ではないだろうか? だとしたら尚更、前・後編に分けるのは、演出面からも正解だったとは思えない。

あと、タランティーノ監督特有の時系列操作も、今回は冗長がすぎた。冒頭の教会で殺戮に至るまでの描写など、特に気の効いた演出もないし、今更いらなかったと思う(ドア向こうの荒野の画は、ジョン・フォードにはかなわない)。サミュエルの出番を演出していたかのようにも取れる(多分そうなんだろう)。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ハム しゅう わっこ[*] kazya-f[*] ガリガリ博士[*] イリューダ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。