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[コメント] 列車に乗った男(2002/仏=独=英=スイス)

はじまりが肝心だ
ebi

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







鉄の扉からミランが出る。そこにマネスキエが待っている。二人は生きている。当然のように。銃殺されなかったし、手術は成功していた。鍵を投げ受け取る。当然のように。

ラストシーンは、今際に夢見た二人の存在しない未来か、それとも…

鉄の扉は高い塀にはりついていた。刑期という時間経過。せっかくの理想に水を差す邪魔な要素。そんな微かな希望にすがりたくなる。すがればすがるほど切ないが、すがらずにはいられない。本当は分かっている。胸にこみ上げるものがある。

1つだけ確実に言えるのは二人は出会って良かったという事。その未来が夢だろうが現実だろうが、どちらにせよ、この出会いがなくてはそれは存在しなかった。それぞれが夢見た人物像がそれぞれの目の前にあった。お互いを理解し尊敬し憧れる対象に出会えた。結果はどうあれ、こんな幸せなきっかけ・はじまりのチャンスはめったにない。

ピアノの前で、列車の中で、彼らがこぼした笑み。過去の否定ではなく未来の肯定が出来るようになれば――あるいは望む人生を歩き始められるのかもしれない。

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追 記

しかし、その頃には人はすでに老いている...

(評価:★5)

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