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エピキュリアンさんのコメント: 点数順

★5パリ、テキサス(1984/独=仏)よく、あんな結末の出逢いを考えたなあ。あのシーンは、なぜか分からないけど、何度みても、涙が止まらなくなってしまう。あの部屋の構造そのものが、ふたりのエゴのありかた、世界の見方なのかな。しかも、その大きな喪失を受け入れるんだよね。ハリーDスタントン、最高![投票(15)]
★5ゴーストワールド(2000/米)感受性が鋭くて何でも判ってしまう人は、その分、世間との距離感や自分自身との調和に苦労する。とくに若いときは、それは地獄だ。その全能感と自己嫌悪の間を激しく行き来してぼろぼろになる。それでも日々、なんとか自分なりのおしゃれを絶やさないイーニドは愛おしい。が、それにもまして、こういう映画にお金を出す人がいる社会って、羨ましいぜ。[投票(10)]
★5理由なき反抗(1955/米)警察署のイスに座っているディーンに注目。あんな身体のもどかしげな動かし方、天才だと思った。親との口論は、いまもそのまま通用するだろうし。グリフィス天文台の使い方も、もう一生忘れない。ニコラス・レイの演出のすごさとディーンの演技を堪能できる「靴下」![投票(10)]
★5天国と地獄(1963/日)よく、あんなロケーションみつけたなあ、と思う。あのモダンな家と、眼下のスラム。その世界の構成が、もうすべてを表しているって感じ。なんか、横浜っぽいなあ、と感じるのは、私だけか。こういう大きな空間を、ぱっと作ってしまうところに、脱帽。[投票(10)]
★5太陽を盗んだ男(1979/日)この映画を観ると、ほかの多くの日本映画が、監督不在というか、撮影、照明、アクション、役者それぞれが勝手にばらばらに仕事してるのを感じる。面白さと深さと楽しさが一個になるには、監督がすべてをコントロールしないといかん、と長谷川さん言ってる気がする。世界から観るとそんなの当たり前だけどね。[投票(8)]
★5キャスト・アウェイ(2000/米)ものすごく落差のある時間と空間が、くっついているこの映画の構造が、好きです。出張とかで半日前まで西海岸にいた自分を東京でおもう不条理感、というか、昔の思い出と今の自分がつながらないのに同一性がある不思議、とか・・・。人生の振幅を、もろに体験できた。[投票(8)]
★5ハイ・フィデリティ(2000/米)男の心理を、原音忠実再生=ハイ・フィディリティ、って感じかな。ここまで、男の(勘違いや自分へのごまかしもふくめて)心理を子細に描き出した映画って、あまりない気がする。自分で思う自分と人から見た自分の忠実度の面白さかな。笑いながらちょっと痛い、という感じ。[投票(7)]
★5あの夏、いちばん静かな海。(1991/日)映像だけで物語を語る、っていう映画の基本を鮮やかなラブストーリーにした傑作。北野武という監督が、見る人の「眼」を信頼しているのが伝わってきて、涙が出そうになる。防波堤から自転車が落ちるとこ、大好き。[投票(7)]
★52001年宇宙の旅(1968/米=英)中学生の時に映画館で観て、あまりの出来事に立てなくなり、もう一度そのまま観て、それでもすべては理解できないけどこれは何か大変なことなんだ、と思いつつ帰り道に財布を落とした。それいらい、50回以上は観てます。[投票(7)]
★521グラム(2003/米)素晴らしい編集!。後悔も絶望も信仰も、当人の心の中ではそれぞれ「してしまった事」や「起きてしまった事」など過去の反芻や回想やフラッシュバックだったりする。それをこの編集は見事に再現していて、観客に追体験させる。「取り返しがつかない出来事」と人生の関係を『アモーレス・ペロス』では理念的に描き、この作品では体験として描いてくれた。[投票(6)]
★5洲崎パラダイス 赤信号(1956/日)タイトルでさえあるのに、そのパラダイスを、橋を渡った向こうを、一度も見せないところが、素晴らしい。だから「隔たり」の映画になっているんだと思う。そこにある川は、なんども印象深く描かれるけどつねに危険な感じが漂う(ボートもね)。その空間の作りだけで、泣きそうになっちゃうよ。[投票(6)]
★5トラフィック(2000/独=米)かすかに揺れ続けるカメラ(ドグマとは全然違う)とニュース番組の編集方法で、政治家や金持ち(トップスター)や警官やちんぴら(個性的な脇役たち)を平等に撮って平等に編集してしまう方法が、凄い。最後、政治家の選択に、個と公に対する新しい答えがある気がする。でも、英国のTV番組のドラマのTraffikのほうが、三十倍は面白かった・・。[投票(6)]
★5アンダーグラウンド(1995/独=仏=ハンガリー)笑っちゃぐらい何度も戦禍にまみれながらも、けちな悪党や女やその仲間が、阿呆のようにめげずに生きる。滑稽で悲しい。猥雑で優しい。凄惨で美しいこのカオスが、音楽、映像のリズム、人物の多彩さ、重層的な(つまり地上と地下と)展開など、すべての表現を一貫していて素晴らしい。[投票(6)]
★5勝手にしやがれ(1959/仏)軽くて速度があってお洒落で明日がない。ベルモンドの泥棒に重い目的や古い倫理がないように、この映画にも目的も倫理もない。セパーグが成熟を保留しているように、この映画も成熟を保留している。ベルモンドが唇を指で撫でるように、この映画にも気になる癖がある。[投票(6)]
★5仁義なき戦い(1973/日)なんてカメラがうまいこと。このぐらい、自由自在に群衆や人間の生態に迫れた時代があったんだなあ、と感心。そういえばNHKアーカイブで「新日本紀行」などのドキュメンタリーを改めて観て、当時のカメラのうまさに愕然。どうなってるんだろう。[投票(6)]
★5ロスト・イン・トランスレーション(2003/米=日)言葉が通じない外国で、なぜか親しいはずの夫や家族との意志疎通が不能になるお話。いやー、この状況設定がリアルだわ。仕事で訪れている海外での孤独が自分の内面を鮮明に写す出してしまうって切ないほどリアルで、笑いながら痛かった。小児的なキャラの国日本をよく忠実に捉えていたしね。照明をほとんど使わない撮影には勇気を感じました。[投票(5)]
★5テス(1979/英=仏)ナポレオンを諦めて撮った『バリー・リンドン』。シャロン・テートに捧げられた『テス』。そして途中で資金がなくなってしまった『天国の門』。なんだかこの三本は、映画というものの悲しさを表しているように思えます。こういう強度の映画が存在してそれを命がけで作る人間ってなんだろう、って思う。[投票(5)]
★5バーバー(2001/米)そこにいなかった男ねえ・・。こんな微妙なテーマを、よくまあ分かりやすく、しかも、面白い映画にしたもんですねー。ただただ感心。自分の中ではちゃんと考えているつもりで、じつは、なにも選択していない=つまり生きていない。こういう人っているよなー。自分の中にも居るし・・。怖いけど滑稽で哀しい。[投票(5)]
★5情婦(1957/米)具体的には書けないけど演出上の「お約束」を実に巧みに使って見る物を納得させてゆく事そのものが罠になっている巧みさ!。弁護士事務所と法廷の2場しかないから、これは十分に舞台でも成立すると思いきや、クローズアップの罠も待っている!。プロットだけではなく、演出の神業がここにあるもんね。[投票(5)]
★5羅生門(1950/日)木漏れ日を見上げて走るカメラから、森、朽ちた門、土砂降り、奉行書のお白州の幾何学的な白壁。勧善懲悪とは正反対のすべてが怪しい人物。卑劣で人間の弱さ丸出しのチャンバラシーン。全体から部分まで、ぜーんぶ魅力的なまれな名作。[投票(5)]