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[コメント] 東京物語(1953/日)

しばらく会ってない地方の両親に、今晩電話でもしてみようかな。
ホッチkiss

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







工場街にほど近い、下町のとある小料理屋。笑い声が聞こえる。サラリーマンとおぼしき人物が二人、卓をはさんで酒を酌み交わしている。「ちょっと君、小津の東京物語、観たかい」(つきだしを食べる箸を休め、遠い目をし)「ああ、観たよ。原節子 、ありゃぁずいぶんといい女だね。えもいわれぬ色香で、何とも言えないよい心持ちになったもんさ」「そう、いいんだよ。なかなかのもんさ」(女将がついたての陰から顔を出す)「お連れさんお見えになりましたよ」「おお、こっちだこっち、まま、まずは一献.....」「おとと...、そうそうさっそくだが、僕も件の映画、観たよ。郷里のお袋と親父、思いだしちまったな。今度温泉にでも連れていくかな」「そうさ、そうだとも。孝行したいときに親はぁなしっ(やや間)てね」「ところで君、こんときの 笠智衆が49才だったって、知ってた?」「ええ!?君、かついでるんじゃないだろうねぇ。あれぁどーうみたって70過ぎにしかみえンぜ」「いやぁ本当本当。あの酔っぱらったじじいの演技、我が愚妻の親父にそっくりだったろ」「愚妻だなんて、そんなこと細君の耳に入ったらどやされるぜ」「酔っぱらいといやぁ、東野英治郎のスーツはどの小津映画観てもぶかぶからな」「そういう君も相当よっぱらってるろ」「しょうゆうチミらってだな....」「ちょっとお客さん、そろそろ看板ですよ」「イヤ愉快愉快」「愉快愉快」暖簾をしまう女将の背後から笑い声が聞こえる。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)パグのしっぽ ぱーこ[*] Pino☆

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