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[コメント] モーターサイクル・ダイアリーズ(2004/米=独=英=アルゼンチン)

モーターサイクルで旅するということ。
ホッチkiss

◆当のご本人(?)は早々に途中退場してしまったけれど、例によって”モーターサイクル”乗り(以下タイトルにちなんでそう呼びます。バイクって自転車も含みますよね)の視点で映画を語ってみます。

◆ロードムービーに限定せずとも、そもそも物語に出てくる旅とは、人生そのものを指す暗喩であることは言わずもがな。目的地に到着することはさして重要なことではなく、流れ行く風景と時間の中で主人公が様々な経験をし、変容していくさまに重きをおく。かの有名な革命家チェ・ゲバラの若き日、旅の道具にモーターサイクルを選んだことは非常に興味深いものがあります。

◆ワタシは旅が好きです。普通に家族旅行も楽しみますが、とりわけ一人でのモーターサイクルの旅を好みます。独身の頃はテントやシュラフ積んであちこち放浪しておりました。単なる移送手段の公共交通機関は論外として、自由に好きな場所へと行けるなら別にクルマでもいいはず。どうしてモーターサイクルでなければならないのでしょうか。ロマンチストを気取るわけではありませんが、体が剥きだしの状態で移動することはより深く地形を感じ、空気を嗅ぎ、気温の変化に鋭敏になっている自分を感じます。あたかもモニター越しに風景を眺めているかのようなクルマ旅とはここが決定的に違うと思うのです。この感覚は何ものにも代え難いものです。それに最も近いのが徒歩の旅でしょうか(あ、後半徒歩...)。まんざら貧困層というわけでもなかったはず(旅自体は貧乏でしたが...)のゲバラは、何故旅の手段がモーターサイクルでなければならなかったのか。それに答えは出せずとも、モーターサイクルだったからこそ後の彼の人生を決定付けたとも言えるのではないでしょうか。

◆分かる範囲で調べた1939年英国製ノートン500(MODEL18)の仕様諸元。空冷OHV単気筒490cc、Fガーターフォーク、Rリジッド(!)。当時としては(エンジンだけは)ハイパフォーマンスなマシンで、そのパワーから「馬鹿力」という意味の「ポデローサ」と命名したらしい。ただ見るからにその馬力に見合う車体とサスペンションじゃないことは明白。しかも2ケツで荷物満載の上、大部分が未舗装路面。さぞかしゲバラとアルベルトは運転に手こずったことでしょう。度重なる転倒も宜なるかな。

ロドリゴ・デ・ラ・セルナって太った庵野秀明に似て蝶(ボソッ)。

(評価:★4)

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