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[コメント] ツイン・ピークス(1990/米)

「『ツイン・ピークス』の事ならわたしに語らせろ!」 marina編 
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 これは序章のみなんですよね。でも「序章」という名の通り、「序章」のみでは『ツイン・ピークス』を語れないのでTVシリーズを含めて語ります。ごめんなさい。シリーズを通して観てもやはり「序章」が一番素晴らしいと思うのだけれど。今でも「序章」を繰り返し見直したりします。

 わたしが「序章」で特に好きなシーンは、<オープニング><ピートが釣りに出掛けローラの死体を見つけるまでのシーン><教室でローラの死を親友のドナとジェームズが知るシーン><ローラの自宅のファン(階段上)が写っているシーン>。 特に<教室でローラの死を親友のドナとジェームズが知るシーン>は、本当に素晴らしくて大好きなシーンの一つ。どこがどう好きかと言われても感覚的に好きとしか言いようがないのだけれど、でも・・哀しさに溢れているからかもしれない。そしてその哀しさを高めているのはアンジェロ・バダラメンティの音楽でもあるのは明らか。怪しくて、不安を煽る音楽なのだけれど、美しくて、本当に哀しい音楽。デビッド・リンチとコンビを組むだけあって、アンジェロ・バダラメンティの音楽はリンチの化身ではないかと思うほど、リンチの世界を表現出来ていると感心してしまう。

 それから、シーンの合間に挿入されるツイン・ピークスの町の風景。それは森の木に留まる鳥だったり、森の木々だったり、パッカード製材所や、グレートノーザンホテルと滝であったり。それらの映像の美しさにも、どことなく哀しさと怪しさ、不安さが入り交ざっているようで、この絵の数々が『ツイン・ピークス』の質を上げているのだと確信している。

 後は『ツイン・ピークス』は吹き替えが素晴らしいので、是非吹き替えで観る事もおすすめ。と言うか、吹き替えで観るべきだ、と思っている。例えばツインピークス保安官事務所のアンディとトレーシーの声は本当に上手いと思うので。

以下の文にはややネタバレが有りなので、「TVシリーズ」を観ていない方は読まないで下さいね。

★★★ 注意・以下にはTVシリーズのネタバレがあります。 ★★★

 TVシリーズ『ツイン・ピークス』の魅力って何だろう。散々騒いでおきながら、改めてこうして考えてみると上手く言い表せない。海外ドラマは恋愛物から犯罪物、サスペンスまで様々だけれど、『ツイン・ピークス』ってジャンルすらよく分からないし。全く他に類を見ないドラマとしか言いようが無い。とにかく、その面白さは群を抜いてナンバーワンだと思う。

 そこまで面白いと思える魅力を色々と考えていくと、まずは登場人物にあると思う。登場人物はざっと100人以上、そしてその多くが非常に個性的であったり、魅力的であったり。分かり易い所で言えば、恐らく一番人気であろう「丸太おばさん」。常に丸太を抱えていて奇妙でありながら、時々意味深なことを言うおばさん。彼女自体、『ツイン・ピークス』そのものである気がする。だから『ツイン・ピークス』ファンには丸太おばさんファンが多いのも頷ける。わたしはエドの奥さんネイディーンも好きだったのだけれど、彼女は”音のしないカーテンレールを発明して大儲けしようとしていて”言動がおかしい。エドはエドでノーマと不倫関係にある。挙げていけばキリが無いけれど、こんな風にそれぞれがどこか必ずおかしい。

 でも実際こんな人たちって、田舎の小さな町にいるのだ。妙な人たちが。変わっていると呼ばれる人たちが。そして表面上には見えない人間同士の繋がりや、ドラマが必ずある。ツイン・ピークスのように。ツイン・ピークスという町は特別じゃない。だからそれが殺人事件をきっかけにどんどん明らかにされていくと、すっかり自分もツイン・ピークスの住民になってしまっているのだ。

 はっきり言ってカイル・マクラクラン演じる主役のFBI捜査官デイル・クーパーだって変だ。ブラック・コーヒーとチェリーパイを偏愛しているし、妙な夢は見るし、お告げをもらうし。わたしが気に入ってしまったのはビンに石だったかコインだったかを投げて犯人当てをするシーン。普通そんな事しませんってば(笑)。それでも観ている間は「エッ!誰!?誰!!?」とワクワクしながら食い入るように観るのだけれど。と、こんな風に誰一人としてまともな人がいないように思われるツイン・ピークスの登場人物。でも『ブルー・ベルベット』で「みんな変態」だとデビッド・リンチが言っていたように(わたしの勝手な解釈)、まともな人間なんて誰一人としていないのだから。

 恐らくこの様なドラマはもう二度と現れないと思う。わたしの大切な、大好きな、愛する『ツイン・ピークス』。書いていたら再び観たくなってしまった。今日は観れそうもないから、TVサントラで我慢しよう。大好きなドーナツをかじりながら。

 もうどんなに書いてもわたしでは上手く言い表せない『ツイン・ピークス』の面白さ。皆さんも是非「ツイン・ピークスはわたしに語らせろ!」をどうぞ。きっといるでしょう、当時相当ハマった同志が(笑)。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)ぱーこ t3b[*] ミュージカラー★梨音令嬢[*] ピロちゃんきゅ〜 torinoshield[*] ナム太郎 かける

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