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[コメント] 三つ数えろ(1946/米)

レイモンド・チャンドラーの原作モノはいずれも原作を超えていないのが悲しい。ローレン・バコールすばらしい。旦那さんを立ててる(笑)。
ヒエロ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







チャンドラーの小説は、推理小説以前に都市小説(つうか、マーロウの目を通した冷酷なまでに事実を淡々と積み上げる独白小説)であり、その独特の闊達な文体と、純文学の作家からして「自意識を抜きにした雄弁の域に達している」と言わしめた彼の小説の魅力を映像化するには、それなりの覚悟が必要なんだと思う。 マーロウの目を通して語られるそれは、映画では殆ど通用しなくなるばかりか、チャンドラー独特の言い回しによって読者に伝えられる雰囲気を、監督や役者はシナリオと演出と役者自身の力量によって伝えられなければならない。

そう考えるだけで、普通、映画にしようなんて発想しないだろうが、それをしちゃうのがハリウッド。チャンドラー自身も一時期映画の仕事をしていたみたいだし。

翻ってこの映画、原作の「大いなる眠り」を読んでないと、難解なストーリー展開(なので台詞の意味が繋がらないこともシバシバ)といい、「どこがThe Big Sleepなんだ?、だれか寝てんのか?」という話の端折り方といい、結局犯人がハッキリとは明らかにされないところといい、実はストーリーの練り込みとしては結構乱暴な作りをしている。ところがどっこい、この映画は謎解きやアクション楽しむわけじゃない。全てのシーンにマーロウが出てくるのは意味がある。マーロウの視線で切り取られたその世界を堪能するつう、極めてチャンドラー小説的な楽しみ方のほうがいい。

ハワード・ホークスがチャンドラーをよく理解してたんだと思う。

(評価:★4)

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