[コメント] この天の虹(1958/日)
えーと、この映画は誰に向けて公開されたのでしょう?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冒頭フィルム1巻を使って八幡製鉄所の設備案内をし、登場人物がストーリーを紡ぎだすと合間合間に八幡製鉄所の福利厚生を紹介する。これ、一般公開された映画ですよね?(笑)
まあ、確かにすごい会社ですよ、八幡製鉄所。福利厚生施設も立派、その当時の鉄鋼技術の粋もくまなく紹介され、何しろ蒸気機関車を複数台所有しているんですからたまげたものです。
という感じで、戦後復興の象徴であり、後の高度経済成長を支える一大拠点となる企業の様子やそこで働く人達、社宅文化の様子など、現代からみると一つの風俗資料として興味深い映画ではあります。
肝心の内容では田村高廣演ずるなんともいけ好かない奴が酷い目に遭うのかと思いきや、いけ好かない奴が結局いいとこ全部持っていくという展開に、アイロニカルな木下恵介的世界を見た思いがしました。
そして、本作は後の木下映画の常連川津祐介のデビュー作です。バディとして高橋貞二を迎え、田中絹代と笠智衆、久我美子に大木実と、彼のデビューに向け絶対に失敗しない布陣を敷いています。監督的にはこの作品で小坂一也を見出したことも大きな収穫であったことでしょう。
それにしても、「(八幡製鉄所で)働く皆さんの健康と幸福を願います」ってナレーションで終わる映画って、いったい何?(笑)
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