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[コメント] 男はつらいよ ぼくの伯父さん(1989/日)

ゴクミ<戸川純
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







最後に電話口の向こうでわいわいやっているとらや(車や、か)の団欒と渡世人の寅の哀愁を演出したシーン。これには説得力があった。私はなぜ寅が渡世人になって、満たされぬ恋心にふりまわされるのか、その謎を知りたいのだが、ここにはシリーズ20年の歴史があり、その年月そのものが説得力を持ってくる。結局渥美清は車寅次郎として朽ちていくしかないのか、という感慨が避けようもなく生じる。昭和と共にフーテンの寅も去っていくのか、と。

寅に軽口たたかれてはにかむ戸川純こそ、フーテンの寅の世界における典型的な女優のあり方である。国民的美少女後藤久美子にはその美少女ぶり以外に魅力を感じない。吉岡秀隆にも後藤久美子にも、映画内の境遇に見合う「やさぐれ感」がない。人情を描く装置として寅が機能しないなら、家族の人情を描くしかないが、それがこの作品で成功しているとは思えなかった。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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