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[コメント] セブン(1995/米)

映像のセンスで見てしまうけど、デビット・フィンチャーはもてあそんでいる感じがする。その手際をすごいでしょうと見せつけられる気がして好きじゃない。
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







20年ぶりにまた見た。感想の中核はまったく変わっていない。そのくせ細部は重要なことも忘れている。「衝撃のラスト」で覚えているのはヘリから見た揺れる画像とブラピの顔。それだけの印象があるだけで、肝心の小箱については全く忘れている。もう一度見直しても覚えていない。そのくせそれまでの伏線から読めると同時にそれは観客を乗せるための設定であざといだろうと思うけど自分はそれに乗せられている、という状態になる。

映像のセンスというのは結局「どう画面にするか」ということで、一例をあげるとラストのブラピが暗い車内にいてよく見えない、つまり表情が読めない、それで事実だけを提示するという手法をとる。モーガンは「これからどうするんだ?」との問いの声に「なんとかやっていくさ」と応える。それも背中の描写で済ませる。

役者では、パルトロウの表情にやられた。「生むつもりならたっぷりかわいがってやれ」というモーガンの言葉に反応する表情がたまらない。もっともこの妊娠に対する態度は謎が多い。ブラピの子どもじゃないのか?とまで思わせる。ケビン・コスナーの存在感に頼ったストーリーも説得力を欠く。このサイコ野郎の背景がまったく見えない。ブラピ・モーガン二人の描写は大変丁寧なのとまったく対照的である。

7つの大罪と最後の7日間のセブンだが、いずれも整合性を欠く。最後に2人死ぬ、との2人の罪が残りの憤怒(wrath)と嫉妬(envy)がそれに対応するとは思えない。

だがまあ昔見た映画がもう一度楽しめるというのは、晩年の快楽として悪くない。最新の駄作をみるよりどれほど増しか。その思いを新たにした。

(評価:★4)

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