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[コメント] 見知らぬ乗客(1951/米)

やりすぎヒッチコック先生の誤算
ぱーこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







伏線から小道具の近い方から、最後の盛り上げに至るまでやりすぎるほど完璧。これをいつ使うのかな、と思って見ていると結局その回収はやらなかったりして、それも含めて映画技術について文句のつけようがない。

誤算というのは、いいやつが一人も出てこない。主人公テニスプレイヤー、不倫して議員の娘の美人とできている。いい男だけどちょっと好きになれない。最後、メリーゴーランドで男の子を助けたりしているけど、基本的にふにゃちん。この奥さん、ド近眼メガネがやりすぎ。ソフトクリームなめてソーセージ注文してビッチ描写満載。殺されても仕方ない設定が鼻につく。主役ブルーノ、こいつが悪魔なんだ。悪魔は人間の姿をして現れる。心の弱みにつけ込んで誘惑する。サイコパスだけど人間じゃない。だから死んでもいい。これに対する天使は愛人(美人ヒロインも結局は愛人でしょ)の妹。真実を見る眼を持っている。これを殺される奥さんと同じ顔にして、悪魔に睨まれる、っていうのはヒッチコックの寓意満載。

というわけで、感情移入していい人が見当たらない。登場人物全員滅んでしまえばいいのか。最後の画面はそういう流れになっているけど、主人公テニスプレーヤーは助かる感じ。つまりサスペンス(はらはらドキドキ)の基本である、応援する相手が窮地に陥るができない。見せ方のうまさが目につくだけになってしまう。それが誤算。でもまあ確かに楽しめたからいいか。

(評価:★4)

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