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[コメント] オテサーネク 妄想の子供(2000/日=英=チェコ)

人形劇>>>>>>>>>>絵本
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これは恐らく一般層を狙って作った作品ではないかと思います。正直、自分的には物足りない部分があったからです。生理的に嫌悪してしまうような、そのくせそれがいつの間にか病みつきになってしまうような、そういういつものシュヴァンクマイエル的嫌らしさがこの作品にはありませんでした。そこが一般受けしそうな作品だなと感じた理由なんですけど。

それを最も顕著に表しているのが「絵本」だと思います。この作品は下敷きに民話がある為、それを彼は「絵本」という形で表現しました。まさにそこがいつもと違うところで、これが「絵本」でなくいつものように「人形劇」風の表現だったらどうでしょうか。

み、見たい・・・!!

あの寓話が「絵本」でなく「人形劇」だったら、それこそシュヴァンクマイエル節炸裂の作品になっていたのではないでしょうか。しかし残念ながら彼は「絵本」を選んでしまいました。例えば彼の特徴でもある「音」。これは絵本という媒体では本領発揮出来ていなかったと思うし、いつもならば腐臭漂うような映像も、絵になってしまうと無臭になってしまう。当然ながら視覚への刺激も弱くなる。あのグロテスクなお話を二次元で表現した事で、作品そのものがライトな感覚を持ってしまった気がします。

私がこの作品で最もシュヴァンクマイエルらしいなーと嫌悪しつつ釘付けになったシーンは脱がせた靴下から出てきた木の枝の蠢き。ここは「おぉー!身震い!!」って感じで良かった。他はいつものヤン味を薄めてありますって感じで、確かにシュヴァンクマイエルではあるんだけど、物足りなさが残りました。

でも物語としては非常に面白く、2時間を越える内容も私的には気にならず。とっつきやすさも含めて、シュヴァンクマイエル初心者に薦めるには良いかなと思います。

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08.04.07 記

(評価:★4)

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