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[コメント] 二十四の瞳(1954/日)

やかまし村は日本にもあったんだ!
づん

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







・・・と、幼い子どもたちの言動に感動させられっぱなしの前半。彼らは揃いも揃って演技をしていない。本当に不安になったり、本当に泣いたり。その瞳に宿る光は負の光であろうとも力強い。そしてモダンガールな高峰秀子先生は元来彼女の持っている勝気そうな雰囲気を味方にし、とても現代的。保守的な村の親たちに嫌われちゃいそうな空気を上手く引き出している。ただ、子ども好きにはちょっと見えないな、と。そして笠智衆先生はいつになく白黒ハッキリしたキャラで、子ども達に訳の分からん歌を歌わせるシーンなんかは笑ってしまった。

そして後半もちょくちょく泣かせられる。まっちゃんのエピソードなんかはもう彼女と一緒に泣きじゃくってしまう訳ですが、やっぱり高峰先生は子どもが好きなようには見えず、どことなく冷たい空気を纏っております。でもそんな彼女独特の雰囲気を相殺しても余りある彼女の演技力はやっぱり素晴らしい。特に年老いてからの演技は目を見張るものがあります。声が若干震えていたり、手の仕草一つとっても年老いた雰囲気を上手く出している。やっぱり大女優だなー。

絶え間ない童謡はちょっと嫌味に感じたけど、必要以上に泣かせようとするあざとさを感じる事はなかったし、淡々としたストーリー展開はむしろ鑑賞者の目線を常にフラットな状態に保ってくれる(散々泣かされて、翌日目が腫れてるヤツの言う台詞じゃないですけど)。でもだからこそ、この映画そのものが持つ力強さは半減してしまっているように感じました。神が宿っている!と思わず身震いしてしまうようなシーンがなかった事も一因かな。

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08.12.03 記

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)牛乳瓶 ねこパンマン けにろん[*]

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