[コメント] 私は二歳(1962/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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胎児がいきなり喋り出すオープニングから既にヤバそうな雰囲気がプンプン!もうオープニングですでに私の心は鷲掴みされてしまいました。子供の心の声なんてものも、胡散臭すぎて非常に面白いし、動物の部分アップなんてのもものすごく市川崑らしいと思いました。
また、人形を使ったコマ送りも超アヴァンギャルド!ヤン・シュヴァンクマイエル以前だよこの作品が出来たの!あのワンシーンだけですでに『オテサーネク』も真っ青です。
それからアニメーションを挿入している市川崑作品は初めて観たんですが(他にあるか知らない)、アニメーター出身の彼の作品を少しでも見られたって事だけでもう私は幸福です。
そしてそして!「またバイク事故で少年が死んだってさ!」と浦辺粂子が怒りをあらわにするあのシーン。何が起こるんだ、出張先でお父さん事故!?え?何、何…!と怯えまくってしまうようなあの不気味なオーラ。「今から何か起こる、絶対に!」そう思って構えていたにもかかわらず、思いっきり度肝を抜かれてしまったばあちゃんの突然死。ギャー!市川崑!(毎度毎度、度肝抜かれていい加減慣れろよって話なんですが、全然慣れないの、本当に。)
そんな市川崑らしい映像の連続と、和田夏十の脚本が織り成す独特の世界。「会社で実質4時間ぐらいしか働いてないくせに!あとは煙草吸ったりドーノコーノ…」っていう台詞なんて、爽快すぎて笑ってしまいました。
でもって後半のやさしさ満タンな展開なんて、もう泣くしかない。生まれた時からじじばばと同居している自分にとって(しかもじじばば大好き)やっぱりこの展開は沁みるし、船越英二・山本富士子夫妻の気持ちの変化もまたあったかすぎる。旦那の親と同居なんて出来ねーよ!とか思ってますけど、こんな家族を築きたいとも心底思います。
単に可愛い赤ちゃんの話かと思っていたら、ものすごいアヴァンギャルドな素晴らしい家族の物語でした。結婚したらまた観よう。子供が出来てもまた観よう。てゆーかこの映画かなり好き!
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2008.08.07 記
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