私がバットマンシリーズで一番好きなのは『バットマン リターンズ』なんですけれども、私と同様にバートンのバットマンシリーズが好きだ！って方には今回の作品は多分面白みに欠ける出来なんじゃないかと思います。バートンのバットマンと比べると、なんだかあまりに普通すぎる出来なんですよね、今回のバットマンは。言い方は悪いかも知れないですけど、数ある「大作」と何も変わらないんですね。

私が何故バートンのバットマンが好きなのかと言うと

・どこか愛しく思えてしまうフリークスの存在

・ファニーでへんてこな世界観

・魅力的なゴッサムシティという街

・私もほしい！っていつも思ってしまうバットモービル

・バットマンの訳のわからなさ

・・・とまぁザッと挙げればこんな感じなんですが。今回これらが全くなくなっていました。私にとってまず、フリークスの不在は痛い。ダークな画面に悪趣味なカラーを滲ませるフリークスの存在がバットマンを面白くさせていたのに、今回は正統派の悪党共。リーアム・ニーソンの使い方は上手いと思いましたけど、なんだか存在定義が弱い気がしました。

それから、バットマンの最大の魅力だと私は思っているファニーさ。これが今回は皆無なんですよ残念な事に。へんてこなところが何一つない。強いて言えばバットモービルがへんてこなくらい。（それってよくないじゃん…）←そこは後で触れるとして、奇妙、奇抜、奇怪・・・どこかへんてこで憎めない、それなのに気色悪さ満点のファニー具合。この絶妙なコントラストが今回はなかった。始終暗い画面よりも、悪趣味な色を反対色に持ってくる事でダークな世界観が殊更際立ったと思うので、勿体無いなと思いました。

あと！あんなゴッサムシティってありますか？普通の街だし。（･･･）私は新生（？）ゴッサムシティに憤りすら感じましたよ。なんだあの煌びやかなイルミネーションは！違う、違う！もっとチープで煩雑な感じなのだよゴッサムは！宝石箱じゃなくて、おもちゃ箱なのだよゴッサムは！う〜ん…なんかやっぱり違う。

ゴッサムも違えばバットモービルも違う。あんなガタイのいい感じじゃないよー！あれじゃこうもりって言うより、いのししって感じ。やっぱバットモービルはスマートな感じの方がいいと思うなぁ。でも飛ぶ直前に運転席がうつ伏せ気味になるところはある意味クールでしたね。ゲイリー・オールドマン演じるゴードンがてんてこ舞いになってる感じがまたクールでした。かわいかった！

そして極めつけ。バットマンの訳が分かってしまった･･･！何でバットマンやってんのアンタ？っていうちょっとした滑稽さが面白かったのに、今回でバットマンの訳が分かってしまった！映画そのものを否定してしまうような言い方になってしまいますが、バットマンの素性というか生い立ちはこの際どうでも良かったかも。変なトラウマとかそういうのじゃなくて、「こうもりってなんかカッコイイ！」ぐらいの、そんな感じの方がバットマンらしかったかなーとか…。

とまぁ、色々とケチをつけてしまいましたが、普通に考えれば今どきっぽさ溢れる娯楽映画だったのかしら。とか思ってみたり、今更このシリーズにインディペンデントっぽさを求めている方がどうかしてると自己反省してみたり。

この映画はまっさらな状態で観に行った方が楽しめたのかなーと思いました。ちょっと残念。

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05.06.30 記