あまり相性の良くない堤監督の作品なのではっきり言って全く期待していなかったのですが、前半は（くだらねーギャグを差し引いても）しっとりとした大学時代の恋愛風景が描かれていたし、恋と妬みの絡み具合が上手に描かれていてとても良かった。

誠人（松田龍平）の部屋の中が映画ポスターや自分の撮った写真でコラージュされていたり、ロッキンオンのＴシャツを着ていたり、そういうディテールも自分の大学時代と重なったりもした。私と同様、ナンチャッテ同棲でデカダンな学生時代を過ごした事のある人ならきっとノスタルジックな気分に浸れるハズ。誠人がジム･ジャームッシュに傾倒していたというのもまた大学生らしくて良い！そして蛇足だけどああ、あそこに『ゴースト･ドッグ』のポストカードが！とか『レザボア･ドッグス』のポスターが！とかマルコム･マクダウェルもヴィンセント･ギャロもいるよ！とかそういう楽しみもあったしね。

そしてなんと言ってもカメラ！写真！私もカメラや写真が趣味なので恋人たちがカメラを用いて戯れたり、同じ景色を共有したり、こういう風景が痛いくらいに共感出来た。才能がないのは分かっているんだけど、その一瞬を切り取る事に夢中になる。そういう気持ちって分かるなぁ…。（しかもモデルは広末かよ！っていう（羨））

だから前半の流れで最後までいってくれたら★５だったのになぁととても悔しい。そう言えば忘れてた！監督は堤だった！！！（愕然）みたいな。なんかどっかが映画的じゃないんだよねー。もったいない。

そしてあの小池栄子の崩壊っぷりに松田龍平もよく笑わず演技した！って褒めてやりたいよ（ただもうちょっと英語の発音は勉強した方がよさげだけどなー）。小池栄子が全てぶち壊しちゃいましたー！テヘヘ★・・・って感じなんだよね。重ね重ねもったいないなぁ、本当。

でもラストはほんのり胸が痛くなり、ちょっと涙目になってしまったし、静流の名前で活躍する事で二人で生きていくというエピソードもとても良い。少し甘くなってしまうけど、ここまで纏め上げた堤監督の今後に期待してこの点数。

最後に。広末の「わるもの。」ってぶーたれて恋人を責める台詞がなんだかとても可愛く、私も真似してやろうと思いました（アンタじゃ無理だし）。