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★3 | 落下の解剖学(2023/仏) | 上昇志向が強く自己実現のためなら家族(制度)は二の次だが、息子への愛情はないわけではなく、母親としてとるべき距離をとれない後ろめたさを、夫の弱点を(おそらく無意識に)過剰に利用することで心の平静を保ちつつ、制度に捕らわれない自身の性的嗜好には従順。
[review] | jollyjoker | [投票(1)] |
★3 | こちらあみ子(2022/日) | さて困ったものを観てしまったなあというのが正直な感想。他者に対して真摯であろうとしたときに、お前なら“あみ子”的な存在とどうかかわるのだ、という問いを突き付けられたからだ。私はすでに十分に"ずるい”大人なのですぐにレッテルを貼ってすまそうとする。 [review] | クワドラAS | [投票(1)] |
★4 | ある精肉店のはなし(2013/日) | 脳天へ一撃くらい、命ある存在から他者の命を育むべき食物へと牛が転生するさまは、神々しい陶酔感に包まれる。「生から死、そして新しい生」を導き出す儀式に没頭する者たち。彼らは神の畏怖を代理して、さらには人の業を代行して肉塊と格闘していようにみえた。 [review] | jollyjoker | [投票(1)] |
★3 | ミッドサマー(2019/米=スウェーデン) | 闇夜より白昼。怨念より信念。本当に怖いのは狂気じゃなくてマジで本気の人間だという“笑顔”のホラー。白と緑を基調に赤や黄色の花散りばめたエコ印みたいな意匠の面白さで、とりあえず2時間半あきずに観られるが、恐怖の描き方は表層的で中身はスカスカ。
[review] | おーい粗茶, t3b, はしぼそがらす, DSCHほか8 名 | [投票(8)] |
★5 | 瞳をとじて(2023/スペイン) | 劇中映画の題名は「別れのまなざし」だ。それはきっと別離を惜しむ哀しいまなざしだろう。その視線を受け入れて幕を下ろすように自ら瞳をとじたとき、その闇のなかに人は何をみるのだろか。終われずにいる者に向けたビクトル・エリセの自戒を込めた惜別の映画。 [review] | ゑぎ, tredair, jollyjoker | [投票(3)] |
★3 | 娘は戦場で生まれた(2019/英) | まさに紛争地の“現実”が記録された「内部」の映像が、このようなドキュメンタリー映画というカタチで紛争地の「外部」へむけて公開されることは意義深いと思う。ただ、観終わった後の何とも言えないモヤモヤした気分に、本作を客観的に評価する難しさを感じた。 [review] | ひゅうちゃん, disjunctive | [投票(2)] |
★4 | 夜明けまでバス停で(2022/日) | 2020年の緊急事態宣言を機に、戦後日本が75年間溜め込んだ社会の歪みが噴き出して"生き場”を見失ったのは、呪文のように「自己責任」をすり込まれた世代。昭和の老残たちの郷愁と責任と悔悟が、そんな自己責任世代を覚醒へと導くポリティカル・ファンタジー。 [review] | セント, クワドラAS, ペンクロフ | [投票(3)] |
★4 | 永い言い訳(2016/日) | 世間的には“好い奴(竹原ピストル)”が感情に素直であるように、人として“嫌な奴(本木雅弘)”もまた自意識に正直な男なのだ。グズグズと、懐疑的で、自信がなく、空威張りで、攻撃的であることで自分の弱さを誤魔化すこの“嫌な奴”が、私は好きだ。 [review] | KEI, irodori, 緑雨, おーい粗茶ほか6 名 | [投票(6)] |
★4 | ミークス・カットオフ(2010/米) | 未来のために“開拓者”を選択した者たちが、彼らを導くはずの案内人が売りにした“豪気な権威”の崩壊に直面する。案内人に従うか否かを男たちは合議で決め、妻たちは黙ってそれに従う。男たちの迷いは妻たちの不安となって開拓者は猜疑の荒野の“彷徨者”と化す。 [review] | DSCH | [投票(1)] |
★2 | ブルークリスマス(1978/日) | 着想のユニークさと展開の巧さは、さすが当時の視聴率王倉本聰。岡本喜八の演出も別段破綻なく、むしろ手堅いぐらいだが、全然面白くない。理由は、私の血の色は赤であり、その限りに置いて、私はいつまでたっても傍観者でいられるからだ。 [review] | 煽尼采, 死ぬまでシネマ, おーい粗茶, sawa:38 | [投票(4)] |
★3 | 658km、陽子の旅(2022/日) | 菊池凛子のアラフォー・コミュ障女の陰気さが「らし過ぎ」て観ている方もどんどん気が滅入る。それにしても、この物語の説得力のなさの原因はなんだろうと考え始めるが面倒くさくなってやめた。熊切和嘉はこのところ脚本に恵まれないなあと大雑把に同情。
[review] | ひゅうちゃん, ペペロンチーノ | [投票(2)] |
★3 | 終身犯(1962/米) | 更生は外部からの指導と強制によって成されるものなのか、自己改革によって内部から覚醒されるものなのかという問題提起に、当然正解が有るはずはない。人を二人殺した男が、おそらく何百万羽もの鳥の命を救ったという事実を力まず描く語り口に好感が持てる。
| t3b | [投票(1)] |
★4 | ブリキの太鼓(1979/独=仏=ポーランド=ユーゴスラビア) | 数十年に及ぶ一家の小史物語であるにもかかわらず2時間数十分の間、移ろうのは物理的な歴史時間だけで終始家族としての物語は停滞し続けるということで、主題への映画的アプローチを成功させているアンバランスな魅力にあふれた不思議な映画。 | DSCH | [投票(1)] |
★4 | 野のユリ(1963/米) | 正統派ナンバー・ワン!・・・30年ぶりに再見して、追記(2002・4・5) [review] | jollyjoker, ガンダルフ, にくじゃが, sawa:38ほか5 名 | [投票(5)] |
★4 | 風と共に去りぬ(1939/米) | 動乱の地域性と時代を的確に伝えるスケール感、その背景の濃さを鈍重に感じさせないメリハリの利いた語り口。強固な演出のバックボーンが作劇のダイナミズムを生み、スカーレットの激情とレッドの達観、メラニーの誠実とアシュレーの優柔ぶりを際だたせている。 | disjunctive, ダリア, りかちゅ | [投票(3)] |
★4 | 37セカンズ(2019/日=米) | 障害者は「不便」だが「不自由」ではないと乙武洋匡は自著「五体不満足」で書いていた。不便は社会的な仕組みや設備の改善によって「便利」に置き換わるが、我が身にふりかかる不自由を解消するためには自らが主体となって「自由」を獲得しなければならない。 [review] | ひゅうちゃん, 鷂, けにろん | [投票(3)] |
★4 | ロブスター(2015/アイルランド=英=ギリシャ=仏=オランダ=米) | 黙って管理される側(独身者たち)の無抵抗が滑稽で不気味なのだが、現実社会で暗黙の圧力に耐えている人々もこう見えるのかもしれない。そして、それは自分なのかもしれない。だから随所に仕掛けられた「笑い」を、素直に笑ってしまうと気まずい気がするのだろう。 | DSCH, けにろん | [投票(2)] |
★3 | 風、スローダウン(1991/日) | 過ぎ行く時に「置いて行かれる」という状況に焦らず、チンピラ長原成樹やお坊ちゃん西川忠志の甘えに流されることもなく、淡々とバイクに時間をささげる石田靖のオサムに好感が持てる。予想はしていたが、終盤の抒情垂れ流しの自己陶酔にはドン引き。 | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★3 | オールド・ジョイ(2006/米) | 車で山へ向かう二人は途中で道に迷う。目的地にたどり着こうと努力する男と、目的地に着くことが「目的」かどうか疑わしい男。ことさら「危さ」を煽る演出はなされないが、旧交を手繰る二人の微妙な所作や言動から「危うく曖昧なズレ」のようなものが伝わってくる。 [review] | jollyjoker | [投票(1)] |
★5 | ショーイング・アップ(2022/米) | そんなものにかまっていられないのだろう。リジー(ミシェル・ウィリアムズ)の衣服はルーズで野暮ったい。所在なげに立ち尽くす寸胴体型の後ろ姿から、ああこの人は善い人に違いないという気配が漂ってくる。こういう真面目で不器用な人ってとても人間的だ。 [review] | jollyjoker | [投票(1)] |