コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 緋牡丹博徒 花札勝負(1969/日)

筋が優先され義理が支配するがんじがらめの渡世の隙間に、お竜(藤)、西之丸親分(アラカン)、花岡(高倉)それぞれの人情と愛情の機微が見え隠れするさまが心地よいカタルシスとなる。お時・バケ安夫婦(沢淑子汐路章)の運命も切なく涙を誘う。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







一家再興のため女を捨てる決意のお竜が、花岡(高倉健)を前にして見せる思慕のまなざしに溢れる娘のように無防備な愛情。老親分杉山(嵐寛寿郎)が、血気にはやる子分たちを毅然と諭しながら、その死を悼む深い愛情。熊虎親分(若山富三郎)、お神楽のおたか(清川虹子)、不死身の富士松(待田京介)が一心にお竜にそそぐ無償の心情。そして、老親分杉山(嵐寛寿郎)の急所を外す花岡(高倉健)のドスの一太刀に込められた正義を求める怒りの情。

四角四面に囲われた、義理がはびこる渡世の世界。垣間見えるは人の情。情にほだされ、流されるのは、ご法度承知のやくざな身でも、斬られりゃ赤い血も出る、情も出る。滲んだ情こそ人の子の証し。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。