[コメント] スピオーネ(1928/独)
たたみ掛けるスピーディな語り口。予想を超えるどんでん返しの連続。謎の人物や組織の正体が徐々に明かされていく妙。こんな複雑な陰謀劇を混乱なく2時間半で見せきってしまうフリッツ・ラングの手腕と1920年代後半のサイレント映画の成熟度に感福する。
謎の黒幕(ルドルフ・クライン・ロッゲ)の禍々しさは007シリーズの破天荒な悪役たちの原型のようで、あごと高い鼻をツンと突き上げて相手を見下し虚勢を張る美女スパイ(ゲルダ・マウルス)がときおり見せる不安げな「おんな」の顔がいじらしいく、賢いのか間抜けなのか分からない諜報員(ヴィリー・フリッチ)の右往左往ぶり。そして、なんとも哀れなのは生真面目そうな松本アキラ教授(ルプ・ピック)の純情。
いやもう、キャラだけでも、もう、お腹いっぱい。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (1 人) |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。