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[コメント] 男はつらいよ 旅と女と寅次郎(1983/日)

「『ローマの休日』矢切りの渡しバージョン佐渡島篇」として見ると、そのまとまりの無さはいかんともしがたいが、豪華な出演者に注目すると各エピソードの冴えは都はるみの存在をかすませるほど。結構、笑わせてくれる捨てがたい一品。
ぽんしゅう

ストーリーの元ネタであろう「矢切の渡し」の細川たかしが矢切の渡しを渡り、渥美の旧友関敬六のチンドン屋に寅次郎を古い変な奴だと言わせる楽屋落ち。

気のよい船長(山谷初男)の船で渡った佐渡で最初に都はるみの正体を見やぶる旅館の婆さん(北林谷栄)の味わい深いとぼけぶり。

失踪歌手を追いかける小心マネージャー(ベンガル)と付き人(木ノ葉のこ)、事務所社長(藤岡琢也)と桜井センリのドタバタぶりと、それをしっらと眺める食堂のオヤジ(人見明)。

都はるみと対面したおばちゃん(三崎千恵子)の無言のビックリ表情演技にはいつもながら大笑いし、ラストシーンで寅と戯れるとぼけた老テキヤ(佐山俊二)にはさすらいの年輪を感じる。

数々の小ネタが冴える本編だが、この後のシリーズでの活躍を考えれば六年生になった満男(吉岡秀隆)が見せる、伯父との価値観に対する違いへの戸惑いと、かすかな理解を描いた運動会のエピソードは重要なポイントであろう。

〔追記〕 冒頭と中盤に「チンドン屋」が2回、とら屋の最終カットに「風鈴売り」の屋台車が登場します。きっと、これは中北千枝子をゲストに迎えての成瀬巳喜男作品へのオマージュですね。再見して気付きました。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ゑぎ[*] けにろん[*] ぱーこ[*] シーチキン[*] TOMIMORI[*] 直人[*]

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