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[コメント] 赦し(2022/日)

娘の喪失の怒りに理屈の底が抜けたような被害者の父親(尚玄)の頑なさ。現実から逃避する自分の心を制御できない母親(MEGUMI)の動揺。法の合理と罪の深さに折り合いがつかない加害者(松浦りょう)の迷い。人の弱さを描いて正直で真摯な物語だった。
ぽんしゅう

だからこそ葛藤のすえに至る終幕の各人の心情も素直に受け入れられた。

どう表現してよいか言葉が見つからないのだが、撮影監督ピーター・モエン・ジェンセンが作り出す柔らかく湿った質感の画調と、既成の邦画とは異なる語り口のアンシュル・チョウハン演出が生み出す緊張感の持続に圧倒された。法的劇としてはロジカルさに欠けるかもしれないが"赦し"の葛藤劇として息をもつかせない作劇だった。

(評価:★4)

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