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[コメント] 夜明けまでバス停で(2022/日)

2020年の緊急事態宣言を機に、戦後日本が75年間溜め込んだ社会の歪みが噴き出して"生き場”を見失ったのは、呪文のように「自己責任」をすり込まれた世代。昭和の老残たちの郷愁と責任と悔悟が、そんな自己責任世代を覚醒へと導くポリティカル・ファンタジー。
ぽんしゅう

やり残し感に苛まれながらも社会の中心から去った者たちに、もはや革命の導火線に火を点ける機会は訪れないかもしれないが、これからの日本を生きていく者たちに導火線の在りかを示すことは出来るのだ。たとえその先にあるのは無条件の希望ではなく、繰り返される徒労と敗北かもしれない、というデジャブが拭いきれなくとも。

新型インフルエンザという不可抗力が暴き出した巨大な災禍のもとの、悲惨な事態に追い込まれた実在する個人の三面記事的事件を個人の問題に矮小化することなく、再び国家に向かって問い直す問題なのだという姿勢を、大風呂敷を広げるがごとく示した梶原阿貴脚本と高橋伴明の志に目から鱗が落ちる。

(評価:★4)

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