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[コメント] 宇宙でいちばんあかるい屋根(2020/日)

人生の長さをまだ知らない思春期の少女にとっての「悩み」は人生のすべてだが、老女にとっての「後悔」はあと少しだけ耐えれば自分とともにこの世から失せてしまうものだ。清原果耶の“今”のすべてと桃井かおりの“今まで”のすべての絶妙なアンサンブル。
ぽんしゅう

無表情なときの清原果耶からは「少女つばめ」の性格も感情もほとんど読み取れない。だが、いったん感情が動くと彼女の表情は実に繊細に変化する。その微妙で多彩な感情表現の豊かさは演技者の技ではなく天性のもののようにみえた。そんな“表情の説得力”を演出の藤井道人もまたアップショットで的確にとらえていく。

桃井かおりは、こんな老女いるはずがない、の「こんな」を存在感として物語のなかに定着させてしまう。桃井はデビュー当時から、現実から数センチ浮いたような女として物語のなかに存在し続けた。アメリカに移住してからだと思う、冗談めかして過去の「桃井かおり」はぜんぶ清水ミチコ椿鬼奴にくれてやった、と何かのインタビューで言っていた。確かに今の桃井は昔のような押し一辺倒の「桃井かおり」ではない。が、桃井かおりは進化しながら、いつまでも新たな「桃井かおり」でいつづける。凄いと思う。

あと、エンドロールで流れる清原果耶の歌唱が素晴らしい。いまでも歌手として活躍する、かつての角川映画でデビューした少女たちを思い出す。息長く歌い続けて欲しいと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)シーチキン[*] セント[*] けにろん[*] 水那岐[*]

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