[コメント] search/サーチ(2018/米)
観ている最中は意外と面白かった。説明台詞と同じぐらいPC画面のポインターやウィンドウの動きが饒舌なので、ふと気づくと考えたり感じたりせず「画面」を受け身で見ている自分に気づく。単調で限定的な画づらに慣れてしまうのだ。慣れとは麻痺とも言い換えられる。
だからでしょうか、途中で、何で俺は映画館の大画面でこんなに味気ない“動画”を観ているのだろうと、ふと我に返る瞬間が何度かありました。
最後まで何が何でもPCモニター映像で構成するんだ、というこだわり以外に、この映画の意義が見つりません。たぶんプライベートからオフィシャルまで、動画の意義やクオリティに軽重の境界のないネット映像の特性が、こういう映画(見世物)を可能にしたのでしょうね。ネットという媒体の節操のなさは最強です。
でも、同じプライベート映像の取り込み方なら今年観たミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピーエンド』のスマホ画像の不気味な豊穣さの方が、やっぱり私は好きです。この映画も、作劇としてリアル世界のスチュエーションをフツーに交えおけば、もう少し奥深いサスペンスになったかもしれません。が、それを言っちゃおしまいですね。
限定的な条件のもと、映画の文法は崩さずに巧みに物語を成立させてみせたところは、これも本年話題の『カメラを止めるな』との共通性を感じます。初チャレンジにして成功はしたものの、もう二度と同じ手は使えない。次回作で本当の手腕が試される苦労を背負い込んだのも同じです。アニーシュ・チャガンティ監督、まだ27歳だそうです。次回も(は)期待してます。
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