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[コメント] 30年後の同窓会(2017/米)

再び遠くの戦争の災禍に家族を襲われた男。流されるまま自堕落に時を過ごした男。野卑を求道で覆い隠し清算した男。ベトナムの過酷と理不尽を経験し、30年の歳月を過ごした3人は“あの時”を嫌悪しながらも思い出にはしゃぐ。哀しくとも青春とは忘れがたき栄光。
ぽんしゅう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







結末の展開にショックを受けた。息子を軍服姿で埋葬することを硬く拒否していたドク(スティーヴ・カレル)に、戦友のサル(ブライアン・クランストン)もミューラー(ローレンス・フィッシュバーン)も理解を示し賛同していたはずだった。

ところが、上官の命を受け3人の帰郷に同行していた軍人青年ワシントン(J・クィントン・ジョンソン)の不意を突いたような提案を受け入れて「海兵隊の正装」姿で遺体を埋葬することに3人は手放しで賛成してしまう。

キーワードは“誇り”だ。この展開に私は嫌悪感をいだいた。作者(原作者、脚本家、監督)は、この“誇り”イコール軍服、そこに潜む「国家と軍隊と青春」の一体化という思想を肯定しているように見えたからだ。

でも、少し頭を冷やして考えてみた。これは、人が生きていくための寄る辺である“誇り”までもが、軍隊という上位下達システムに浸食され続けている戦争国家アメリカの悲しみを象徴しているのだと思うことにした。

青春は栄光の日々であって欲しい。これは海兵隊の正装に身を包む青年も、かつて青年だった中年男にとっても、そして一切軍服とかかわりないのない青春を送る者にとっても、変わらぬ純粋な願いであるのだから。

(評価:★4)

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