[コメント] お盆の弟(2015/日)
欲はあるが戦略も戦術もない。生活力はないが家事力はある。神仏や先祖に願掛けし希望との距離を保ち、優しいのか、鈍感なのか、人のために動くことは惜しまない。だから、いや、なのに、愛する人から「あなた、すごくカッコ悪いのよ」と言われた男の話である。
もしも、受け身で生きることもひとつの美徳だとしたら、タカシ(渋川清彦)の不器用さが醸し出すリアリティこそが、今の競争社会における善良さの象徴なのかもしれない。そして、こんな奴はダメだと思いつつも、どこかでタカシに共感している自分もまた、いまだに現実を前にして煮え切らないダメな奴なのかもしれない。
主人公の代わりに「俺のどこがカッコ悪いんだとよ」と言ってあげたくなるのは、そのせいだろう。
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