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[コメント] ヒメアノ〜ル(2016/日)

日常と非日常は地続きであるということ。ムロツヨシの逸脱、濱田岳の優柔、佐津川愛美の生理、森田剛の絶望。日常に点在する「異物」が、当たり前に生きることで触発し合い非日常に陥るという道理。確かにすべての事件はこうして勃発するものだ。
ぽんしゅう

登場人物がみなエキセントリックでありなら、パーソナリティにリアリティがあるのは、むしろ現実社会が物語的に劇場化する脆弱さをはらんでいるからかもしれない。その意味において「今」という時代のラブコメとサイコサスペンスが無理なく融合した佳作なのだ。

「今」のラブコメとは「薄味の恋愛を消費する浮かれた愛欲ゲーム」のことであり、サイコサスペンスとは「閉塞のはけ口としての幼稚な人格破壊と深い絶望」のことだ。エンターテインメントという枠の制約のなかで、エロスもバイオレンスも手を抜かず描こうとする吉田恵輔の演出姿勢にも真摯さと覚悟を感じた。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)けにろん[*] セント[*]

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