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[コメント] 野火(2015/日)

飢餓がもたらす人心の錯乱と非情。手足がちぎれ、内臓が飛び散る遺体。そんな定型的な描写よりも、ふり注ぐ陽光に輝く白雲と山の稜線や、波のようにうねる常緑の木立が放つ生気と、ぼろ布のような軍服をまとう泥まみれの兵士の髭面との対比に無慈悲な地獄を見た。
ぽんしゅう

誤解を恐れずに書けば、この戦後70年の間に映画はあまりにも多くの「戦争」を描きすぎたのかもしれない。描く側にも、観る側にも「恐怖」や「悲惨」や「理不尽」の定型化が生じてしまっている。「戦争」の何を描写し、何を伝えるのか。あるいは、何が伝われば、何が具現化されるのか。真摯であればあるほど「戦争」を紋切型にならないように描くことの困難さを感じた。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (9 人)おーい粗茶[*] クワドラAS 週一本 DSCH[*] Sigenoriyuki けにろん[*] 寒山拾得[*] ガリガリ博士 ペペロンチーノ[*]

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