精神崩壊と死の恐怖を身近に感じながら成長してきた若き異能者たち。まさに彼らはデフォルメされた平成の子供たちだ。もっと深く時代を呪い、もっと激しく社会に復讐してしかるべき子供たちなのだ。この「怒り」の物語の主役たる異能者の「懸命さ」が伝わってこないのはなぜだろう。彼らもまた現実の同世代者たち特有の、冷酷に徹しきれない優しさを漂わせる。あえて敵を作り叩きのめすことが重要なときもあるはずなのだが。