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[コメント] 生きてるものはいないのか(2011/日)

交わされる日常会話の希薄さが呆れるほどリアルなのは脚本の前田司郎の鋭敏さの証し。そんな間延びした空間に突如割り込む奇妙な「死」を、新生石井は淡々と無感情に描き続ける。命の一斉強制終了。浮かび上がってくるのは恐怖や悲しみではなく滑稽なまでの無力感。
ぽんしゅう

男は言う「みんな死んでしまうんだよ!」 

「当たりまえじゃない。人はいつか死ぬのよ」と女

「何もしてないのに死ぬんだよ!」

「何かしたって、何もしなくたって人は死ぬじゃない」

そうだ、人は生まれて死んでいく。そのくり返しで世界は成り立っている。そんな当然の摂理が永遠に続くものだとみんな信じて疑わない。

日常の強制終了。この否応のない世界の崩壊劇を観ている間、そんな言葉が頭に浮かんでいた。気候異変。新種ウィルス。核や細菌兵器。原子力災害。終了ボタンには事欠かない。毎日が永遠に続く根拠なんてどこにあるのだろう。

(評価:★4)

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