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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4叫びとささやき(1972/スウェーデン)嫌な映画である。ベルイマンの真摯な悪意が、フィルムにとり憑いたかのような赤と白と黒。しかし目をそむけるどころか意識がスクリーンに吸い寄せられてしまう。きっとそれは、心の底に隠したはずの不安を暴かれるマゾヒスティックな快感を誘うからだろう。 [投票]
★3冬の光(1963/スウェーデン)悲惨である。信じるものに頼る。では何を信じるのか。神か、人か、己か?。どうせ裏切られるのであれば、神よりは得体の知れた他人や自分に絶望し思い悩む方が気楽だ。神とはなんと罪作りな概念なんだ、と俗人の私は思ってしまうのであります。[投票]
★4野いちご(1957/スウェーデン)なんとも残酷な話である。これは、若きベルイマンの「人生と希望」に対する懐疑の、あるいは「エゴと寛容」に対する戒め表出だろうか。いずれにしろ、人生の終わりも近い老医師に突きつける取り戻すことのできない記憶の堆積は、反面教師にしても重すぎる。 [投票(1)]
★313日の金曜日(1980/米)見えそうで見えないのはジェイソン君とエイドリアン・キングの裸。恐怖映画とお色気映画の基本は同じ。その代わりといっては何ですが、他の女優さん達が意味もなく下着姿でうろうろするサービス付き。[投票]
★1D(1999/日)オタク達の映画ごっこと割り切ったところで、とても鑑賞には耐えられない。怪獣と戦闘服以外への無関心・無責任ぶりは確信犯と思われるも、それは映画媒体に対する愛情の欠如か侮辱にしか見えない。[投票(1)]
★4赤ちょうちん(1974/日)60年代の青春が不足に対する充足願望を推力にしたならば、70年代は充足の中の孤立打破を推力にする。義眼(=見えない目)を飲み込み世間と対峙しようとする男、義眼をお守りに世間に耐えようとする女。あの時代の、そんな気分。[投票(2)]
★3あの、夏の日・とんでろじいちゃん(1999/日)「大人から子供まで楽しめる映画」を狙うことは悪いことでは無い。しかし、子供を過剰に意識すると不要な饒舌さが映画を支配する。子供は子供だからこそ、想像力で未知の物語を自分のものとして追体験し得る。それがファンタジーではないのか。[投票]
★3ピンチランナー(2000/日)冒頭から70〜80年代青春映画の臭いをプンプン放つ那須博之監督の律儀な演出に思わず身をのり出し・・・ [review][投票]
★4OKINAWAN BOYS オキナワの少年(1983/日)戦後生まれの琉球少年は、強大なアメリカの力にふたをされた日々を生き、みなパスポートを手に一度は最も近い自由の地・本土を目指す。そこで彼らは自分が、日本人ではない日本人だと知る。国家の狭間で奪い取られるアイデンティティがここにもある。[投票(2)]
★3ホワイトアウト(2000/日)織田裕二と松嶋菜々子の確執。中村嘉葎雄の孤独。佐藤浩市の諦観。吹越満の怨念。アクション映画だからこそ、そういった個々の思いをもっと丁寧に、そして的確に描かないと話の軸が成立しない。ありがちな、ただの大作ダイジェスト映画。 [投票(1)]
★3リング0・バースデイ(2000/日)大仕掛けやハッタリ無しで、怖がらせようとする素直でシンプルな演出は好きです。惜しむらくは仲間由紀恵が唯のお人形さん。もっと貞子の悲しみを伝える力があれば、そして後半がもっと丁寧に作られていれば『キャリー』になり得たかも知れない。[投票(1)]
★4大空港(1970/米)豪雪・着陸事故・職人・渋滞・夫婦不和・義兄弟・セクショナリズム・不倫・望まぬ妊娠・孤独老人・不正搭乗・騒音問題・政治・税関・失業、爆弾。これだけ詰め込んでも消化不良を起こさず、面白いのだから大したものだ。編集と音響効果の緩急が絶妙。[投票(2)]
★4M★A★S★H(1970/米)「別に死にたきゃかまわないけど、俺は生きてる方が好きだね」くらいの、軽く乾いた感じが好き。あまりに軽すぎて気づきにくいが、話は反戦云々を通り越してエロスとタナトスの域にまで及ぶ。「肉体あっての精神」を最もよく知っているのは神父よりも外科医。[投票(12)]
★4あの子を探して(1999/中国)急速な資本主義化が生む経済ギャップを皮肉りつつ、どう見せてもあざとくなりそうな話を、またもチャン・イーモウはさらりと撮り上げてしまう。大人も子供も全てを金銭に置きかえるさまが醜いと思いつつ、自分のことは棚に上げているのにふと気付く。[投票(1)]
★3流星(1999/香港)このおとぎ話を現代に成立させるためには、時間の停止が必要だった。東京でもニューヨークでもなく、複雑な歴史と文化が混在し時代の感覚が麻痺したような場所。香港だからこそ、情緒過剰に陥ることなくギリギリの線で物語をつむぐことができた。 [投票]
★3スパイシー・ラブスープ(1998/中国)五話構成のオムニバスですが、どのエピソードも話と演出が平板で退屈。唯一、第四話での両親の離婚をやめさせようと懸命になる少年の無邪気さと健気さ、そして家族三人三様の切なさが心に残るぐらいかな。[投票]
★5真夜中のカーボーイ(1969/米)日常の断片ショットは社会との、回想ショットは心の枷との、二人の客観ショットは希望との距離。三つの距離が軽快にモンタージュされながら、テキサス、ニューヨーク、マイアミという距離を移動する。なのにリコは最も離れた世界へ去る。縮まらぬ距離、孤独。[投票(4)]
★3火の鳥(1978/日)どう転んでも揺るぎようの無い名作「火の鳥」を、アニメーター出身の劇映画作家市川崑がどんなドラマに仕立て直すのかと期待したのに、完全トレースでは拍子抜け。貧相な実写とアニメの合成は痛々しく目を覆うばかり。チャレンジ精神にのみ3点。[投票(2)]
★5遊びの時間は終らない(1991/日)社会は本音と建前で成り立っているから生きやすいという暗黙の事実を、唯一知らぬ振りして無視するのが国家権力機構と融通のきかない生真面目人間。そんな裸の王様的「権威と権力」を笑い飛ばす快感。もっと評価されるべきコメディ映画の傑作。[投票(3)]
★3楢山節考(1983/日)人間の生と性が決して特権的なものではない、という警告には深く同意する。しかし、動物や昆虫を繰り返し挿入しても映画的緊張感は分断されるだけで、そこからは何も見えてこない。恐ろしく単純なミス。[投票(4)]