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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★4幸福の設計(1947/仏)夫婦をめぐる人々の点描が脈略なく拡散し、どれも大した話しじゃないのに何だが楽しいのは「話し」を語るのではなく「見せる」ことに徹しているからだ。本筋が見えなくなった「話し」は“宝くじ事件”の究極の「見せる/見せない」を経てやと夫婦の話しに収束する。[投票(1)]
★3オペラハット(1936/米)端正な容姿が邪魔をするのかゲーリー・クーパーが、剛腕女性記者ジーン・アーサーにハメられた非常識な田舎青年に見えず“女の改心”もお約束ごとの域に収まる。オセロのように「非常識」を「常識」にひっくり返していく裁判の爽快さでなんとか帳尻が合う。[投票]
★4我が家の楽園(1938/米)理想主義の陽気な自由賛歌に見えますが、作中でもライオネル・バリモアにイデオロギー原理主義をさらりと批判させているあたり、根底に流れるのはリバタリアニズムでしょう。するとあの一家の破天荒ぶりは自虐ジョーク。これは確信犯的プロパガンダ映画では。 [review][投票(1)]
★3れいわ一揆(2019/日)真顔で理想社会(というよりは人の心のありよう)を語る安富歩という人物に、すかり原一男は心酔しているようで、その真摯な思い込みは必然として「れいわ新撰組」という“得体なき連合”へも無条件に注がれる。だからだめだとは思わないが、次の2点が不満。 [review][投票(2)]
★4蒲田前奏曲(2020/日)失礼ながら知名度が高いとはいえない松林うららという役者さんが、自分が出演するために自ら制作したそうだ。単館一館とはいえレイトショー扱いされることもなく公開されると知ってすぐ観に行った。こんなあまたの″小さな力”が日本映画界を支えているのだ。 [review][投票]
★3私をくいとめて(2020/日)勝手にふるえてろ』で大九明子のシゴキのような要求に松岡茉優は体育会的ノリで応えていた。のんは「脳内アドバイザー」と会話する解離症寸前の本当はヤバイ状態の女を、持ち前の暖簾に腕押し的しなやかさで、いかにもなアラサー女に見せてしまう。 [review][投票(9)]
★3THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女(2018/中国)中国と香港という“あやふや”な境界がはらむ状況を描くにあたって、生活者がかかえた矛盾をバイ・シュエ監督は密輸サスペンスとしてエンタメのなかに仕込むわけではなく、といってシビアに告発するわけでもない。16歳の少女は、ひたすら少女らしく描かれる。 [review][投票(2)]
★4バクラウ 地図から消された村(2019/ブラジル=仏)設定は「西部劇」なのだがヒーローはいない。個人の「感情」描写は必要最小限に刈り込まれ、物語は唐突な「行為」の表出の連鎖を推進力に進む。現代に蔓延する理不尽な状況のもとで有効なのは行為の「意味」ではなく「行為」そのものだと映画自体が語りかけてくる。 [review][投票(2)]
★3エドワールとキャロリーヌ(1951/仏)ドレスに着替え鏡の前でポーズをとるアンヌ・ヴェルノンの長い手足が美しく、憎めないお気楽若妻という役柄の愛らしさとあいまってキュート。頼りないのか優しいのか分からない夫(ダニエル・ジェラン)との痴話喧嘩の裏テーマはサロン的な俗物風刺だろうか。 [review][投票]
★4燃ゆる女の肖像(2019/仏)静謐にみえて熱っぽく、寡黙なようで多弁な演出。見られることを拒む女(アデル・エネル)を、義務として見ようとしていた女性画家(ノエミー・メルラン)が「見つめ合う」ことで互いに魅入られていくさまがサスペンスフル。秘匿と覚醒と解放の恋愛映画。 [review][投票(3)]
★2ミセス・ノイズィ(2019/日)図式的に単純化した薄っぺらい正論を、大風呂敷のごとく広げるさまに、無自覚な上から目線が透けて見えて不快。その幼稚な正論と現実社会の折り合いをどうつけるのかと思っていたら、作中の小説に重ねつつ「この映画」を自画自賛して“こと”を収めたのには呆れた。 [review][投票(1)]
★3ホモ・サピエンスの涙(2019/スウェーデン=独=ノルウェー)前作『愛おしき隣人』までは多少残っていた物語性はほぼ消滅してしまった。銀鼠(というか青みがかった銀灰色)に統一された背景のなかに描かれるのは、みな大なり小なり“問題を抱えた者”たちだ。ほんの少し、可笑しみより悲しみが増したようにみえる無彩色だ。 [投票(1)]
★5佐々木、イン、マイマイン(2020/日)10代特有の空騒ぎは、無自覚に過ぎゆく時間の恐怖をやり過ごすための自己防衛だった。モラトリアムも終わり、今度は遅々とした時間の停滞に焦り、しこたま飲み、遊び、愚痴り発散した徹夜明けの過剰な充足感と後ろめたさ。そんな空疎の「有意」を私も知っている。 [review][投票(6)]
★4音楽(2019/日)研二(坂本慎太郎)の覚醒と森田(平岩紙)の変心。腕力に自我を託す衝動も、音に身をゆだねる忘我も、元は同じプリミティブな快感なのだ。互いのベクトルが衝突し合体した先のカオスが生み出すグルーブ。オフビートなズレが一気に飛翔する町内フェスの陶酔。[投票(1)]
★2太郎は水になりたかった(2019/日)中二病の過剰なコミュニケーションの痛さと微笑ましさがこの話の肝なのだろうが、いまひとつそれが伝わってこない。原作漫画をトレースしただけでアニメーションとしての「見せ場」がないからだろう。肝心の見たいところが「画」になっていないもどかしさを感じた。[投票]
★3こたつ魔人(2012/日)積極的に動かない男と自ら動けない男の話しなのだが、動けない男のほうが世界を満喫しているという皮肉。クライマックスの騒乱に動かないものを動かしたいという作者のアニメ衝動を感じた。笑いがボケとツッコミに終始し映画としてのコメディにいまひとつ達せず。 [投票]
★4山(2010/日)素朴な画のタッチと淡々とした語りが、どこか寓話的な物語とマッチして現代の都市民話を観ているような気分になってくる。やるやる詐欺的モラトリアムの虚勢。その幼稚な滑稽さに「山にこもる男」の社会への相容れなさの苦しみが透けて見え、ちょっと悲しい。[投票]
★3嘆きのアイスキャンデー(2009/日)色鉛筆の彩色がノスタルジックで、誰もが共有している子供時代の“あの夏の日”の風景が重なり懐かしい。展開はオーソドックスというかベタ。好い意味で安心して最後まで観てしまっが物足りななさが残るのも確か。オチで思わず笑ってしまったので★ひとつプラス。[投票]
★4福来町、トンネル路地の男(2008/日)疑似「目」の男と疑似「口」の女の表情は半分しか見えない。二人に施された手描きのアミ線が激しく揺れ動く。その蠢動は動きたくても動けない者のもどかしさに見える。静と動の狭間に浮かぶ引きこもり的孤独。切なくも互いを理解する出会いに、ほのかな希望が滲む。 [review][投票]
★4人間魚雷回天(1955/日)自爆装置「回天」をまえに講義を受ける学徒兵の集団から物語は始まる。彼らの“命”は見えない手によって一括りに束ねられている。その呪縛を解きほぐすように物語は個々人の心情へと向かう。ついに喧騒から隔てられ取り戻した「個」は己の命の存在を自爆装置に刻む。 [review][投票]