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ぽんしゅうさんのコメント: 更新順

★3たかが世界の終わり(2016/カナダ=仏)わずかな変化も見逃すまいと、表情に近接したショットを畳み掛け、緊張が沸点に達する寸前に、突如、堰を切ったように吹き出す歌曲が、軽快なのに息苦しくも哀切で、交わらぬ者たちに代わって感情を吐き出しながら、動かぬ物語を「終わり」に向けて動かしていく。 [review][投票(2)]
★3ぼくのおじさん(2016/日)どんな客層を想定したのだろう。毒気のない山下映画は気の抜けたコーラのようで締まりなく甘ったるいだけ。もっとベタ職人監督さんで“おじさん”をエキセントリックにブラッシュアップして松田龍平大西利空君の“凸凹龍空コンビ”で平成の寅さん化希望。[投票]
★3こつまなんきん(1960/日)蓮っ葉な女工から妖艶な教祖へ、さらに占い師、囲われ妾、相場師、芸人、実業家の愛人と、男好きファニーフェイス瑳峨三智子の堂々たる女っぷり。逆境に微塵の悲壮感もなく、河内女の「どうにかなるやろ」的バイタリティーが痛快。何とも憎めない可愛らしさ。[投票]
★4ザ・ゴールデン・カップス ワンモアタイム(2004/日)抑圧から解放された若き米兵たちの精気が渦巻く60年代の本牧。狂騒の上澄みを、気ままに謳歌した同世代の音楽不良どもの同窓会。彼らにとって音楽は文化などではなく日常(自分)そのものだったのだろう。彼らもまた、アメリカの洗礼を受けた幸福な日本人なのだ。[投票]
★4東北の神武たち(1957/日)家畜同然の扱いに甘んじる農家の次男・三男ども。それは村落共同体を存続させるための知恵であり、その掟を自然の摂理として受け入れるのもまた人の理性なのだ。人でありながら人ならざる者たちの諦念が、同志的大らかさに転じ、悲惨さが可笑しみに昇華している。 [review][投票]
★3今年の恋(1962/日)たとえお決まりの展開でも、いや先がみえみえだからこそ、ツボを押さえた職人的演出で、最後までニヤニヤ、ハラハラと楽しませるラブコメ。『お嬢さんに乾杯』(49)でもそうだが木下恵介の男女の鞘当ては上品で「やりすぎ感」がなく深刻にならないのが好い。 [review][投票]
★3裸体(1962/日)脚本家成澤昌茂の数少ない監督作であり、妖艶な和服姿の印象が強い嵯峨三智子の、肌も露わな洋装が鮮烈な珍品。10代後半の娘を演じる嵯峨が当時27歳と知ってまた驚く。起承転結がはっきりしない一本調子の演出が蓮っ葉娘の暴走ぶりと被り作品の味となる。 [review][投票]
★3おんなの渦と淵と流れ(1964/日)敗戦の虚無のなか規範を見失い、倫理の瓦解に焦り、知性にすがる男どもは誰もが自信なさげで頼りない。不安定な関係性のなか、抑えきれない「官能」を抱えつつ、ときに運命に抗い、ときに身をゆだね生きなければならない女の苦悩が稲野和子の能面顔に滲む。[投票]
★3皆さま、ごきげんよう(2015/仏=グルジア)何だかよく分からないけど面白い。モノや土地を奪い、心や時間も奪い、命も奪うということ。人もまた動物であり、その本能から逃れられないのだ。だから人の歴史には、足跡のように「略奪」が点在しているんだよ、と薄笑いを浮かべるイオセリアーニの顔が浮かぶ。 [review][投票]
★3暗黒街の顔役(1932/米)野心、暴走、栄光、家族愛、悔悟、立てこもり、転落。後年、作られるあまたの成り上がりギャング映画のエッセンスの原型がすべてここにある。意気揚々のトニー(ポール・ムニ)が見せる子供のような笑顔が印象的で、最後まで憎めない悪党の末路に哀愁がよぎる。[投票(1)]
★3三つ数えろ(1946/米)もったいぶらずに小気味よく話を進めるホークス演出が心地よいのだが、それがいささか強引にも見えオチに説得力が欠ける感もある。まあ、あまり辻褄にこだわらず、ボガードのフィリップ・マーロウぶりとハリウッド美女たちを「見て」堪能すればいい映画、なのかな?[投票]
★4無防備都市(1945/伊)戦火の傷痕が残る街並みでのロケ撮影というまさに「無防備」な映像に、侵略され自由を奪われたロッセリーニらイタリア映画人の情念が滲む。その思いはパルチザンの抵抗物語の域を脱し、カタチだけの反戦に留まることなく、人間の根源的な邪悪性の告発にまで至る。[投票]
★3ウンベルト・D(1952/伊)この「プライドを捨てないこと」という矜持が、最早、資本主義も末期症状を呈し始め貧困が日常のなかに潜在化してしまった現在、ここまで気高いことなのかどうかは甚だ疑問だが、やせがまんが美徳でなくなった今だからこそ、逆説的に「面白い」と言えなくもない。[投票(3)]
★3NO ノー(2012/チリ=米=メキシコ)レネ(ガルシア・ベルナル)の行動原理は体制に抗う意志ではなく、時代が内包する欲望に忠実に従う本能だ。思想ではなく表現が力を生んだ幸福な時代。洗脳でも扇動でもない、広告が、夢の先導者だった時代。消費欲が正当性を保持していた「最後の時代」のファンタジー。 [review][投票]
★4夏をゆく人々(2014/伊=スイス=独)漆黒に揺れる光。闇のなかを彷徨い現れた車。男は驚いたように言う「こんなところに家があるぞ」。もう一人の男が応える「いや、昔からあったさ」。そして、忘れられた者である、世界の終りを察知していた父と、世界の存在に気づいた娘のひと夏の物語は始まる。 [review][投票]
★3破門 ふたりのヤクビョーガミ(2017/日)さすが小林聖太郎の大阪モノは手堅い。佐々木蔵之介横山裕の2本柱が映画を支えるわけだが、佐々木のマジな「強引」に巻き込まれるヘタレな横山の「トホホ感」が足りずバディ感が不完全燃焼。山田洋二作品の10倍笑わせてくれる橋爪功が救い。[投票]
★3マグニフィセント・セブン(2016/米)せっかく取り揃えた人種の面白さが活かしきれていると言えずもったいない。もっと丁寧に、それぞれの見せ場を「らしく」作り込んでこそ“今ならでは”のアイディアでは。あと、E・バーンスタインやるなら、もっと早くに仕掛けた方が全然ノリが違っていたのに。[投票(1)]
★3沈黙 -サイレンス-(2016/米)キリスト教を真に解さない私は、古今東西のこの手の映画を観るときは、安らぎを渇望しつつ「神の沈黙」というサディスティックな仕打ちに身も心も呈し、信じることと、疑うことの葛藤に悶え苦しむ、ちょっと変質的な人々のマゾ映画として楽しむようにしています。 [review][投票(6)]
★3ダゲレオタイプの女(2016/仏=ベルギー=日)愛することと拘束することの物語。人の想いを永遠に定着させる写真は、人の時間と動きを奪う「死」の代替物でもあるということ。写真家は娘や妻に永遠の「生」を与えるために時間と動きを奪い死者の態を強要する。そして、その行為は写真家自身の心をも拘束する。 [review][投票(1)]
★5アズミ・ハルコは行方不明(2016/日)ポジティブな逃避、あるいは限りなく緩い反逆。「消えちゃえば?」と、屈託なく愛菜(高畑充希)に言い放つハルコ(蒼井ゆう)は迷い人を悟りの世界に導く菩薩のようだ。大胆に交錯する時間軸が切り結ぶ先に浮かぶのは空疎で薄っぺらな男社会の規範と偏見。 [review][投票(1)]