★3 | 迷子(2003/台湾) | 一見、斬新な演出に見えながら二つの喪失の物語が停滞し続け、いっこうに感情が揺さぶられないのは、物語を撹拌する映画的テクニックすなわちリー・カンシェン監督の個性が見えないからだ。新人監督のデビュー作として突き抜けたオリジナリティを感じない。 | [投票] |
★2 | 修羅城秘聞 双龍の巻(1952/日) | 原作のダイジェストでしかないと思われる手抜き脚本が全ての敗因。まるでカット割りの手本のように細心に組み立てられ、しかもワンショットたりとも手を抜くことなく丁寧に撮られているにも関わらずまったく面白みがない。娯楽作品としてはどう見ても落第。
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★2 | 続修羅城秘聞 飛竜の巻(1952/日) | 1本の作品を分けて後編としたのだと思われる。よってコメントは、「脚本が全ての敗因。まるでカット割りの手本のように細心に組み立てられ、ワンショットたりとも手を抜くことなく丁寧に撮られているにも関わらずまったく面白みがない」。以上前編より抜粋。 | [投票] |
★3 | 女王蜂(1977/日) | 展開や背景の人間模様の哀れさよりも、犯人隠しのために配置されたとしか思えない豪華出演陣のなかで、ひとり浮いているという点でどうせあんただろうとすぐに見破られしまう犯人役が哀れ。話しの展開も起伏に乏しく退屈で、どこにも女王も蜂も見当たらない。 | [投票(3)] |
★4 | 病院坂の首縊りの家(1979/日) | 複雑すぎて映画的処理不能な背景など、佐久間良子と桜田淳子の勢いにまかせて適当にお茶を濁して、男によって被虐的境遇におとしめられた女たちと、母を思う男たちの物語にしてしまったのは正解。お馴染みとはいえ脅迫電話4連発の崑カットは度肝を抜く。 | [投票] |
★4 | パッチギ! LOVE&PEACE(2007/日) | 何のてらいもない「愛と平和」についての映画である。しかも、渾身の力づくである。だからこそ、興行的なサービス精神の具現である泣かせシーンなど不要であった。井筒和幸の本気度を素直に感受すれば良いのだ。この物語に作為的な感動など必要ない。 [review] | [投票(6)] |
★4 | 恋しくて(2007/日) | 『ナビィの恋』の老女ナビィ、『ホテル・ハイビスカス』の小学生美恵子、そして本作の高校生加那子(山入端佳美)。洗練という形容から最も遠い映画である中江ワールドを支えるのは、今回もまた既成の型にはまらない不思議なチャーミングさをふりまく女性だ。 [review] | [投票(3)] |
★3 | 若き日の信長(1959/日) | きっと女性客狙いなのでしょう。傍若無人というよりはインテリ策士風の雷蔵(信長)で、話しもチマチマと情緒的。でも、初めて見たのですが金田一敦子という女優さんが可愛いです。あと、プログラムピクチャーとは思えぬ手の込んだ豪華なセットに唖然。 | [投票] |
★3 | 鰐〈ワニ〉(1996/韓国) | 既成倫理を挑発するかのように冒頭から発散される自由奔放な内面感情。後の作品で噴出する暴力と痛みをたっぷりと内包したギドク特有のロマンチシズムの萌芽。生命を放棄してまでも、自らの最も美しい時を保持し永遠を獲得するということ。水中花を想起した。 | [投票(2)] |
★3 | スパイダーマン2(2004/米) | そうですか。基本的な約束事が守れないのは正義のために忙しいからですか。でもね、やるべきことちゃんとやって信用つけてから蛮勇ふるわないと納得どころか迷惑する人もいるわけで。言い訳すると大好きな正義も価値が下がりますよ。全米のアメコミファンの皆様。 [review] | [投票(2)] |
★4 | 風と樹と空と(1964/日) | 大勢、俳優さんが出ているが吉永小百合の純朴な明るさの前に全員かすむ。こういうお茶目で活発な少女というのが小百合さんの実像にも一番近いのだと思う。歯切れ良い松尾昭典演出もあいまって実に活き活きとしていて楽しい。点数は全て小百合さんに献上。 | [投票(1)] |
★1 | 変身(2005/日) | 分かりやすくするために漢字には読み仮名をふりましたという程度ならまだしも、どうせお前らバカだから全部ひらがなで書いてやったよ、という観客愚弄演出。この演出家は、我ら観客の手によって即刻映画界から追放されなければならない。 [review] | [投票(1)] |
★2 | 親指さがし(2006/日) | 過度なCGを使わないのか、使えないのか知らないが、その姿勢はかうものの、ならば映画史のなかにいくらでも手本はあるはずで、この無策無能ぶりに呆れる。きっちりと映画的日常が描かれてこそ、非日常の異常さが恐怖になる。何だ、あの「シャイニング」もどきは。 | [投票] |
★3 | 泥だらけの純情(1963/日) | 絵空ごととしか言いようのない純愛物語だが、台詞の歯切れよさと簡潔で潔いカッティングが心地よいリズムとなってちっとも話しがべとつかないのは馬場当脚本と中平康演出の功績。浜田光夫の、何も考えない軽やかな突進力と軽薄さが悲しくて良い。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 旅の重さ(1972/日) | 例えば父性を求める平成の少女たちは都市化した居住地と真の大都市の狭間を一見楽しげに行き来しつつ沈殿する。70年代の少女は家を出て彷徨うか、小説世界へ未来を見い出し突進した。正と負の差はあれ高橋洋子と秋吉久美子の鮮烈なデビューは飛翔だった。 [review] | [投票(2)] |
★3 | 明日の記憶(2005/日) | 日常の何気ない物忘れを見て、あっ、俺もヤバイかも・・・。美しく献身的な妻を見て、うっ、うちはダメかも・・・。施設のパンフレットを見て、げっ、きっとココだな・・・。と、わざとふざけてコメントしないと精神の平常が保てないほど怖かったのであります。 [review] | [投票(5)] |
★2 | ローズ・イン・タイドランド(2005/カナダ=英) | 魔女だろうが、女神だろうが、現実世界に化身を誕生させるためには神話が必要で、現実世界の神話とは、正常さから微妙な距離を保った異常さの中に成立する。この映画には遊びとしてデフォルメされた異常さのための異常しかない。オタク的自家中毒を起こしている。 | [投票(2)] |
★5 | バベル(2006/仏=米=メキシコ) | 巧みな脚本、演出、編集で、時間と地平を操りながら143分間、延々繰り広げられる人々の苦渋と焦燥は、とりとめなく拡散し続け収拾を見ない。死の問題は放置され、他方で唐突に誕生が示される。しかし、この混沌と迷走こそが人間を真摯に描こうとした証なのだ。 [review] | [投票(12)] |
★4 | 白夜(1957/伊=仏) | ナタリア(マリア・シェル)と出合った瞬間、マリオ(マストロヤンニ)の時間もまた彼女同様停止した。二人の時間が不器用に弾け動き始めるダンスパーティ。運河の船出で未来へと流れだした時間を再び凍結する美しくも冷たい雪。今度は男の時間が停止する。
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★3 | 夏の嵐(1954/伊) | 軍人や貴族という身分は本来の人間の性的衝動とは何の関係もなく、占領者と被占領者という状況も男と女の剥き出しの欲情の中では意味をなさない。だた両方とも、我が身の悶えに反して知らず知らずのうちに「裏切り」の引き金を引いてしまう遠因にはなり得る。
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