この映画が数多あるサイコスリラーの数少ない成功例として君臨しているのは、幾度か使われた雨のシーンや闇で覆われた現場シーン等の事件内容と密接に繋がったジメっとしたムード表出のみならず（それなら他の同系列の映画に数多く見受けられる）、それに加えてラストシーンに噴き出された悲しみと怒りの表出に尽きるのではないか。

ラスト、刑事は私憤で犯人を殺した。それはある意味犯人の術中に見事にはまってしまった訳だけど、彼のとった行動に私は爽快感を抱いた。それはおそらく、その行動に理屈を超えた共感するものを感じたからに違いない。むしろあのラストがなければ３点の評価だったかもしれない。

初めて観た時は後味の悪さもあったが、ラース・フォン・トリアーを観た後だとかわいいもんだ。