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[コメント] 殺しのドレス(1980/米)

そういえば当時ブライアン・ディ・パーマと呼ばれてましたな。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







美術館での無意味な長回しに気を取られている観客を尻目に、さりげなくある人を登場させるお茶目さがこの監督の魅力。

小道具の扱い方、特に鏡の扱いが秀逸。

まず言及しなければならないのがエレヴェーターのシーン。ショックとスリルの融合した例として、未だに素晴らしい輝きを放っている。そのシーンは『サイコ』のシャワーシーンの持つ、“残酷さの中に美しさを取り入れたもの”を継承しつつ、より生々しさを得たものに仕上がっている。

それ以外にもエリオット(マイケル・ケイン)が女性に誘惑されるシーンで意味ありげに鏡にその姿が映るという演出は、別人格(ボビー)登場の伏線の役目も果たしている。

またこの謎のボビーなる人物の描き方は、実態のあやふやなものとして、あたかも『サイコ』における母親のような描き方をしている。

そして最後のオチでもう一発、ナンシー・アレンの裸・下着姿同様、美しく撮れていたと思いまする。

ディ・パーマ監督を語る際、どうしてもヒッチコック監督との関連性なしでは語れないが、本人はむしろそれを喜んでいると思う。完全なオリジナルもなければ完全なコピーもない(『サイコ』があったか…)。これは紛れもなくディ・パーマの映画だ。ヒッチよりも、より下品でより扇情的で…。ひとつことをやり続けた人間の到達点がここにある。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] kawa[*] いくけん[*] セント[*]

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