[コメント] 謎の完全殺人(1978/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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『刑事コロンボ』シリーズを手がけたウィリアム・リンクとリチャード・レビンソンによるミステリで、『殺しのリハーサル』『Guilty Conscience』とあわせてミステリ三部作と呼ばれているそうな。
『殺しのリハーサル』がものすごく面白かったので、ビデオ発売されているこの作品にも手を伸ばしてみたのだが、出来はいまいちだった。
パッケージの解説で騙されてはいけないのだが、アーサーは超能力で犯罪計画を感知したのではなく、探偵を雇って知っただけであるからして、彼をいんちき読心術者にする必然性は全く無い。それと、関係ないことだが、パッケージの表紙、ハル・ホルブルックとキャサリン・ロスが微笑んでいるシーンを使っているのだが、内容と全くあっておらず、もう少し考えてほしいものだ。
後半もどんでん返しと言うほどのものでもなく、先が読めてしまう。それはまだいいとしても、そこに至るまでの重要な過程である、アーサーの妻アリソンの不倫相手ギルとアーサーとのかけひきもいまいち盛り上がりに欠け、『コロンボ』の初期に顕著に見受けられた、心理戦の高揚感に乏しい。
極論すると、最後の、アーサーはどれを選択したかを曖昧にしたところを撮りたかったがために作ったのではないかと思える。そしてそれは、あながち的外れな考えではないと思う。
ちなみに、この手の手法はリドル・ストーリー(物語の結末をわざと伏せて読者の想像にまかせる小説でF・R・ストックトンの『女か虎か?』が有名)と呼ばれるそうです。その実験精神たるやさすが『コロンボ』の産みの親です。
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