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[コメント] 沓掛時次郎 遊侠一匹(1966/日)

一宿一飯の恩義の為に捨て駒のように扱われる“渡世人の虚しさ”を、テーマの一つとして明確に盛り込んだのが成功の秘訣だろう。 東映時代劇の二大アイドルだった錦之助と千代之介の“殺し合い”が、時代劇の終焉と仁侠映画の台頭を鮮明にする。
AONI

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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この時期の中村錦之助は東映会社との関係が完全に冷えきっており、本作は東映を円満退社する為に仕方なく出演した契約本数に基づく作品の一本らしい。そうはいっても、この時期の円熟味を増した錦之助の演技は素晴らしい。加藤泰の演出は残酷かつ美しい。

殺した男の未亡人おきぬに恋焦がれる時次郎。仇である時次郎を恋い慕うようになる未亡人おきぬ。この物語の映画化作品を観るのは本作で三作目だが、この“湿っぽい”世界観がどうも私には好きになれない。むしろ本篇ストーリーが始まるまでに挿入される、渡世人の仁義を押し通して非業な最期を遂げる渥美清の小物語の方が印象に残ったりする。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)赤い戦車[*] ハム[*] ゑぎ[*] ジャイアント白田

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