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[コメント] ラスト サムライ(2003/米=ニュージーランド=日)

アメリカ人が「武士道を旨とする侍とはこうあって欲しい。こう生きて欲しい」という憧れ・願望をフィルムに描き出した作品です。レビューには、武士には付き物の正式な切腹の作法付き。
ゆーこ and One thing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 多分、勝元(渡辺謙)は西郷隆盛(明治天皇のお気に入りであり、最後に逆賊として処断されるところを陛下に救われる)、侍の最後の戦いは西南戦争をモデルとして描いてるんだろうと推測しました。ついでに大村(原田眞人)は徴兵令の元を作った大村益次郎と山県有朋がモデルになっていると推測します。

 勝元を始め、この作品の侍たちは教科書に出てくるような模範的人物が登場します。無口で、強くて、慎み深くて礼儀正しい人達ばかり。

 本物の侍の最後は、様々な特権を奪われた末の爆発(断髪・廃刀令、秩禄処分、平民への徴兵令)だったのに対して、勝元たちは侍としての誇りを旨に華々しく散っていくというなんとも潔い姿。

 この姿を見ていて「ああ、アメリカ人が侍に求める姿とはこういうものなのか」という「侍観」が非常によく分かりました。

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おおよそこのような作法で切腹は行われる。

1 正規の場合は切腹小屋が建てられる。切腹人の着物及び下着は白、その上に無地の浅黄色の裃を着る。介錯人は切腹人が誰それでお願いすると指名を行う。

2 切腹人が検使より差し出された三方に載せられた脇差を手に持ち、左脇腹に突き立て、右脇腹の方へと動かしていく。

3 突き立てられた脇差が右脇腹に達すると、介錯人は切腹人のうなじ辺りをめがけて真っ直ぐ刀を振り下ろす。その時、首の皮一枚を残して斬るようにする(完全に斬り落とすと首がどこかに飛んでいってしまうため)。遺体は抱き首という状態になる。

4 介錯人は刀を置き、脇差で改めて切腹人の首を斬り落とす。右手に懐から取り出した懐紙20枚を載せて、左手で髪の毛をつかみ、切り口に懐紙を添えて検使の前に差し出す。

 これがとりあえず作法に則った切腹の方法ですが、腹に刀を突き立てるのは江戸時代の前半くらいまでで、江戸時代も中期から後期に入ると、三方に載せられたものは木刀や扇子になり、それを握ろうと前屈みになるところを介錯人が首を打ち落とす事例もあったといいます。

(評価:★4)

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