[コメント] キング・コング(1933/米)
70年前に作られた作品とはとても思えないほどテンポが軽快。特にクルーが髑髏島に上陸してからの怒涛の展開は印象深い音楽とあいまって、まさに見せ場だらけといっても過言ではない娯楽映画のひとつの頂点。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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コングを始めとする怪獣達の動きはコマ撮りで撮影されていますけど、滑らかではないカクカクした動きが巨大生物のスローモーさを再現したようで、観ていて非常に説得力があります。
遠景で映されるコングは凶悪な暴れっぷりを見せますが、近景で映されるアンを見るときの表情は案外あどけないので、そこに緊張と緩和が生まれて、作品に良いアクセントが掛けられています。
それにしてもこの作品、人間たちとコングの心情が徹底的にクロスしません。あくまでも人間は人間側として立ち位置が設定され、コングはコング側(=異形の怪物)として立ち位置が設定されています。両方ともそのラインを踏み越えるようなことは一度としてありません。
コングとずっと接してきたヒロインのアンですら、終始キャーキャー恐怖の叫び声をあげまくるだけで、全然コングとの接点は形作られていません。
そのせいか、エンパイアステートビルのてっぺんで飛行機にコングが狙撃され、その傷をおずおずと見るシーンではものすごくせつなくなりました。
最終的にエンパイアステートビルから転落して死んだコングに対して、デナムが吐き出す「野獣は美女に殺されたんだ」という能天気っぽいセリフに至っては、「お前が殺したんだ!」と突っ込みたくなりました。このあたりは人間の馬鹿さ加減が秀逸に表現されていたと思います。
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