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[コメント] パッチギ!(2004/日)

「かつて差別し差別された2つの民族が心を開いて交流すれば、必ず融和が実現する」という前向きな部分だけでなく、根の深いネガティブな部分にも切り込んでいるところに、製作陣が持つ勇気を感じました。
ゆーこ and One thing

 日本人と在日朝鮮人の恋愛という同じテーマを扱った行定勲監督の「GO」は「差別」という最も重要でデリケートなテーマを、「恋愛」という甘ったるいオブラードでぼやかした最低の作品でしたが、こちらは恋する2人の間に横たわる深い深い溝を真正面から描いています。

 康介がキョンジャに会いたい一心でハングルを覚え「イムジン河」を歌い、朝鮮部落の人達の酒盛りに参加する。その康介を壁も作らず受け入れてくれる人達。とても理想的で、まさにこうあるべきという見本のような展開に、本当に心が洗われるようでした。

 しかし、いくら融和の大切さを頭では理解していて、個々の日本人に恨みはなくても(事実の有無やその規模はともかくとして)かつて日本によってプライドを傷つけられ、60年近くたってもそれが癒えない朝鮮人が存在していることは事実であるわけで(この映画では描かれてはいないが、逆に不良朝鮮人にカツアゲをくらい、今でも「朝鮮人憎し!」という思いが消えない日本人もいる)、あそこで鬱積した苛立ちを爆発させた長老を「そこで怒っちゃだめですよ」と諌めることは出来ません。

 足を踏まれた痛みは、足を踏んだ人間には理解できません。足を踏まれた人が「痛い!」といってるなら、とりあえず踏んだ人間は謝るしかないんですよね。しかし、ずーっと「痛い!」と叫んでいては、いつまでたっても進展はありません。いつかは足を踏んだことを許してください。

 出演者はみんな個性的で印象に残りましたけど、キョンジャを演じた沢尻エリカがとても可憐でした。康介が一目ぼれしちゃうのも納得の可愛さです。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)きわ[*] tkcrows[*] 太陽と戦慄

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