[コメント] マルサの女(1987/日)
三作目にしてやっと物語への集中力が生まれた。しかし何より雄弁なのは本多俊之のテーマ曲。リズムとメロディの「拍」の違いから、「脱税」「齟齬感」を想起させる日本映画音楽史上屈指の交響詩だ。(音の安っぽさに惑わされてはいけない!)
映画は面白い。行き届いた取材。物語ることへの抜群の集中力。
しかし、宮本の崩壊気味の母子家庭の描写(序盤の電話での遣り取り)が、物語全体にフィードバックし切れず、働く女の孤独を描出するだけに留まってしまったのは、如何にも残念だ。山崎努と息子のエピソードは、宮本の家庭との対比があってこそ初めて活きて来るもので、あれでは自分のことを棚にあげて他人の家の事情に首を突っ込む近所のババァと変わらない。
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