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[コメント] 飢餓海峡(1965/日)

駅伝映画。長距離、往路と復路。復路での既視感に気持ちよく酔えました。
町田

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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どこからどこまでが誰の仕事か、俺には知る由もないがこの構築美には驚嘆せざるを得ない。

序盤、津軽海峡を米=メキシコ国境に観立てたかのような、西部劇さながらの、”逃避”と”追跡”の構図。これが三人の男と一人の女の間でグルグルと引き継がれ(左幸子のみ逃避者と追跡者の両方の性格を持つ)、それら全てがシンボル<恐山>の元で運命的邂逅を果たしたあと、オープニングと全く同じ飢餓海峡の映像が流れ物語の終わりを告げる。

逃走者と追跡者、海峡や恐山などのシンボルのほかにも、雷、トウモロコシ、二つの溺死体、二人兄弟、ボックス席と車窓、新聞紙、他諸々のイメージが前後半で意図的に重複使用され、これが摩訶不思議な回帰感を与えている。

こういった構築美があったればこそ3時間を越える長尺を飽きることなく楽しめたのだと思う。

演技面では左幸子がダントツ。あの変態性が作品にもたらした広がりは計り知れない。

一方で如何にも高倉健が好みそうな、老刑事とその息子の人情挿話は明らかに蛇足であった。

(評価:★4)

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